7月7日に投開票される東京都知事選挙。現職の小池百合子知事と、立憲民主党の蓮舫氏との対決が予想されています。ともに報道キャスターの経験を持ち、知名度や集票力が高い両者は接戦を繰り広げることになるでしょう。さらに広島県安芸高田市長の石丸伸二氏も、選挙に立候補する意向を示しています。市議会と対立する様子がSNS上で話題となったことを機に、石丸氏の知名度は伸びてきています。注目される都知事選ですが、果たして若者の関心は高まっているのでしょうか。
都内に住んでいる筆者は、今月行われた目黒区議会補欠選挙の街頭演説を見てきました。目黒駅周辺には、候補者たちが選挙カーから公約を訴えている姿や激励する支持者の姿がありました。目黒という若者に人気の土地柄も相まってなのか、駅には若者が演説を聞く様子もちらほら見うけられました。演説を聞いていた、目黒区在住の大学生(20)は「候補者たちが、若者の将来を見据えた政策を掲げている様子を見て、投票しようという気持ちにはなった。しかし、連日朝から晩まで街頭演説の声が聞こえていると、少々鬱陶しい気もする。演説を聞いてまで投票しようと思う人は少ないのでは」と話していました。
確かに、街頭演説をひたすら繰り返しても、若者を投票所に向かわせるまでには至りません。総務省が2016年に実施した「18歳選挙権に関する意識調査」によると、全国の満18歳〜20歳の男女3000人が選挙に関する情報を収集する手段は、「テレビのニュースや報道番組」 (50.2%)が最も多く、「政党や候補者のポスター」(36.6%)、「インターネットのニュースサイト」(28.9%)が続き、「街頭演説」は23.8%にとどまります。
つまり、街頭演説で選挙情報を得ている若者は全体の2割強しかおらず、多くは演説を聞いていないに等しいと言えます。また、投票しなかった人は全体の約半数であり、理由として「選挙にあまり関心がなかったから」(19.4%)、「投票に行くのが面倒だったから」(16.1%)などが上位にあがっています。投票率を上げることよりも先に、まずは若者の意識を選挙に向ける必要がありそうです。
(「18歳選挙権に関する意識調査」より抜粋)
また、前回(2020年)の都知事選の20代の投票率は約45%と、半数にも満たしておりません。年々投票率が上がっているとはいえ、投票率が比較的高い70代に比べると、その差は一目瞭然です。
(東京都選挙管理委員会事務局HPより引用)
以前、大学の英語の授業で、アメリカ大統領選挙の候補者2人が討論するテレビ番組が紹介されました。バイデン、トランプ両氏がそれぞれの公約を語り、時には感情を露わにしながらも、視聴者に投票を呼びかけていました。米国では大統領自らがテレビやラジオに出演し、自分の姿や肉声を視聴者に伝えることで投票に導く手法が多いそうです。
都知事選を控えて、石丸氏が自身のYouTubeチャンネルを立ち上げるなど、SNSを活用して知名度を上げている例は増えてきています。都知事選に限らず、若者の投票率を上げるには、まだまだ工夫が求められているのではないでしょうか。
参考記事:
・読売新聞朝刊 28日付(14版)1面 「蓮舫氏 都知事選出馬」 関連記事2面
・朝日新聞朝刊 28日付(14版)1面 「蓮舫氏 都知事選に出馬表明」 関連記事2面
参考サイト: