江戸時代から続く京都の伝統行事。それは世代を超えて、多くの人に愛されています。
茶の産地として有名な京都・宇治市。ここで生産される宇治茶は、静岡茶、狭山茶と並んで日本三大茶と言われています。茶葉は立春から88日経過した日から摘み始めるそうです。今年は5月1日がその日にあたるということで、宇治茶会館で「宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い」が開催されました。500人の限定イベントでしたが、私もその集いに参加しました。
このイベントでは、茶摘みだけでなく宇治茶にまつわる様々な催しが用意されていました。まずは、宇治茶の淹れ方体験です。ここでは、自分で淹れた茶を飲むことが出来ます。3杯ほど飲みましたが、1杯目と3杯目の味はまるで違います。お湯の温度や量、お湯を入れてから注ぐまでの時間で味が大きく変わり、同じ味の茶は存在しないといいます。1杯目が最も甘く、そこから苦みが増していきます。1杯目はまるで砂糖を入れているかのような甘さで、茶の概念が覆りました。さらに、同じ茶葉を使えば使うほど葉が開いていくのが分かり五感を使って宇治茶を楽しむことが出来ました。
次に、手もみを見学しました。ヒノキに囲まれ60-70℃に熱された鉄板の上で行われます。職人は茶葉の感触や状態を確認するために素手のままです。手もみされている宇治茶は、まるで大浴場に浸かりながらマッサージされているようでした。
最後に、メインイベントである茶摘み体験です。茶葉を上手く摘むためには多少のコツがいりますが、慣れたら簡単にできました。当日はあいにくの雨で傘を持ちながらでしたが、スタッフの方は片手でいとも簡単に摘んでいて匠の技を感じました。一面緑で覆われているその場所は、私達を非現実的な世界へと誘っているようでした。
同じイベントに参加していた中国からの留学生で関西大学大学院に通っているの施泓毅(シ・コウキ)さん(22)は、「大雨でびしょ濡れになったがスタッフの方が丁寧に教えてくれて本当に楽しかった」と話してくれました。
日本の伝統行事に海外からの若者が関心を抱いてくれたことは、非常に嬉しく思います。この伝統を途切れさせることなく、多くの人に宇治茶を飲んでほしいと願うばかりです。今後も宇治茶に関する投稿を続けます。乞うご期待。
参考記事
2024年5月27日付 朝日新聞「絵図に薫る、宇治茶のある風景 歴史資料館で企画展、江戸から大正時代の作品/京都府」.