ニューカレドニアの現状から考える 多文化共生とは

海外領土という言葉を耳にしたことはありますか。私は聞いたことはあったのですが、先日のフランス語の授業で詳しく知りました。アメリカのグアムや、イギリスのジブラルタルも海外領土の一例です。

フランスの海外領土は、太平洋に浮かぶタヒチやボラボラ島などを含むフランス領ポリネシア、ニューカレドニア、インド洋のマダガスカルの近くにあるレユニオン、南アメリカにあるフランス領ギアナなどです。ほかにも、カリブ海やカナダの近くにも存在します。

なかでも、オーストラリアの東に位置するニューカレドニアは「天国に一番近い島」と呼ばれ、新婚旅行などにも人気のリゾート地です。日本からは直行便で8時間半です。1年中温暖で、エメラルドグリーンの美しい海が広がるニューカレドニアは、私の行ってみたい地域の一つです。しかし、今ここでは暴動が起きています。

フランスのマクロン大統領は15日、ニューカレドニア全土に非常事態を宣言しました。朝日新聞によると、暴動は13日夜に始まり、外務省の情報では「道路の封鎖、略奪、建物・車両等に火をつける行為等」が発生しています。この暴動により、7人が亡くなりました。

発端は政府が進めている、フランス系住民の地方選での投票権を拡大するための憲法改正だそうです。これは参政権を「現地に10年以上暮らす住民にも拡大する」ものです。人口のおよそ40%を占める先住民カナクの中には、フランスからの分離独立を求める声も上がっているといいます。独立派はカナクの票が薄まるとして、憲法改正案の撤回を求めています。

マクロン大統領は23日に現地を訪れ、分離独立派と会談しました。しかし、依然として緊張は続いています。ニューカレドニアの人々と対話が進み、暴動が収束することを祈ります。

フランス本土にも様々な人が暮らしています。私がフランスに留学した際のホストマザーは、アルメニアからの移民でした。フランス人の友人にも、移民出身の人がいます。3週間の留学中、私は日本の文化をホストマザーに教え、一方でフランスの文化だけでなく、アルメニアの文化についても学ぶことができました。互いの文化を尊重し、認め合う大切さを実感しました。

グローバル化が進むなかで、多文化共生とはどのようなものか。焼けた車が映るニューカレドニアの物々しいニュース映像は、そんな問いを私たちに投げかけているようです。

 

【参考記事】

20日付 朝日新聞朝刊4面「ニューカレドニア、放火や略奪 仏系住民の投票権拡大、仏大統領に批判」

23日付 日経電子版「マクロン仏大統領、ニューカレドニア独立派らと会談」

【参考文献】

NHK WEB特集「ニューカレドニアでなぜ暴動?人気のリゾート地で何が?」

ニューカレドニア観光局公式サイト

外務省海外安全ホームページ

France2 20h

【画像】 ニューカレドニア観光局公式サイト