女性が輝く社会づくりを

今月20日、台湾において民進党の蔡英文主席が初の女性総統に就任しました。韓国では朴槿恵氏が大統領を務め、アメリカでは民主党ヒラリー・クリントン氏が大統領選挙で熱い戦いを繰り広げています。フランスにおいては2000年に「候補者男女同数法」(パリテ法)が成立し、今では閣僚の数が男女平等となりました。近年、国際的に女性がリーダーとして活躍する機会が急激に増えました。

 

では日本はどうでしょうか。今年、国内において女性が初めて国政で参政権を行使してから70年を迎えます。政策の幅を持たせるため、女性議員を増やそうという機運は年々高まっています。しかし、衆議院において女性議員が占める割合は全体の1割に満たないのが現状です。今年2月に列国議会同盟(IPU)が公表した下院の女性議員比率ランキングでも、日本は191か国中156位と先進国の中では世界最低水準です。

 

民進党は30日、衆議院比例区の候補者の一定割合を女性とする「クオータ制」の導入のための公職選挙法改正案を衆院に提出しました。また民進、共産、社会、生活の党など野党は共同で国会と地方議員の候補者 を男女同数とすることをめざす法案も衆院に出しました。当初は超党派の議員連盟が国会での提出を目指していましたが、文言を「男女同数」か「男女均等」にするかで与野党は合意に達せず、成立は先送りになりそうです。

 

安倍政権は「2020年までに女性の指導的地位の女性割合を30%にする」と掲げました。しかしこれまで効果の期待できる具体策は示されず、達成は非常に困難と思われます。クオータ制は現在100ヶ国以上の国で導入され、韓国や台湾においても女性議員を増やす火付け役として非常に高い効果がありました。思い切った制度面の後押しが必要だと筆者は考えます。

 

人口の男女比は半々ですが、議員の数は偏っています。女性ならではの視点、良識が反映された政策が、今、社会に求められています。昨今問題になっている待機児童や出生率の改善、女性の人権の課題などにおいても質の高い施策作りが可能になるのではないでしょうか。

 

女性が輝く社会に向けて、抜本的な選挙法の改正と共に、女性参画の障壁を取り除く取り組みも必要です。女性の政治参画が進まない背景にはまず、男性は働き、女性は家を守るべきだという根強い分業論があり、また政治は男がするものという意識の問題が指摘されています。育児や出産、介護、家事との両立ができる環境づくりやハラスメント防止といった変革も必須です。多くの女性が政治参画に動けるような土壌作りを、一人ひとりの有権者の投票で生み出していくことが求められます。

 

531日付 朝日新聞 朝刊 14版4面 「男女「同数」か「均等」か 与野党決裂」

530日付 朝日新聞 朝刊 14版 9面「不平等の是正 政治の役割」

57日付 朝日新聞 朝刊 14版 4面「女性議員増 機運あれど」