情報を買うという選択 今こそ読むべき新聞

情報は無料で手に入れるもの。無意識のうちにそんな認識をしている人が多いように感じます。実際、SNSをはじめとしたインターネット上には無料で手に入る情報が溢れているといえるでしょう。しかし、その情報は正確で信頼出来ると自信を持っていえるものでしょうか。正確な情報か否か、判断することがますます難しくなっているのが現状です。

昨今、話題となったオープンAIによるchat(チャット)GPTをはじめとした生成AI。その市場は日に日に拡大しています。9日、米グーグルは生成AIを使った動画作成サービスである「Vids(ビズ)」を開発したと発表しました。文章による指示で、瞬時に動画が作れるといいます。6月から一部で試験提供が開始される予定です。文章やイラスト作成が中心だった生成AIですが、動画作成といった幅広いニーズに応えるべく機能を拡充しているのです。

目新しいと感じていた生成AIは今や日常に溶け込んでいます。大学の講義で生成AIの利用について説明を受けることも以前より増えました。レポート執筆について、生成AIの使用を認めるが利用した部分を明確に記載するようにと伝えられます。筆者はなんとなく抵抗があり本格的に使ったことはありませんが、周囲には生成AIの助けでレポートを執筆した友人がいることも事実です。生成AIがいかに身近な存在になっているのか、日々実感しています。

生成AIの普及を感じる場は、大学にとどまりません。何よりも影響が実感されるのは、インターネットではないでしょうか。SNSをはじめインターネット上には、生成AIが作成した画像や文書が溢れるようになりました。ここで問題になるのは、生成AIによって作成された情報かどうかを識別できないものが多く混じっている点です。ソースが不明だと、誤った情報やフェイクに気がつかない恐れが増すといえるでしょう。

当然、リスク管理を求める声も高まっています。読売新聞社とNTTが公表した「生成AIのあり方に関する共同提言」では、閣僚からもリスク管理に関する意見が示されました。正しい情報を得られる環境が拡充するような取り組みに期待したいです。

今日、情報を獲得する手段をインターネットに委ねているという人が多く見られます。インターネット上には、無料で手に入り、興味をそそられる情報が溢れているというのもまた事実でしょう。しかし、その情報は信頼出来るものでしょうか。生成AIの普及も手伝って判断は容易ではありません。だからこそ、情報に対価を支払う価値を声高に主張したいのです。

 

情報を買う、それは新聞を購読することだと思っています。正確で根拠のある情報を得るために、今こそお金を出して新聞を読む価値があるのではないでしょうか。

年々、新聞を読む人は減少傾向にあります。しかし、情報が溢れる今だからこそ、新聞を購読するという選択を大切にしていきたいものです。

 

 

参考記事:

10日付 日本経済新聞(東京12版)13面(ビジネス1)「グーグル動画生成AI ユーチューブから学習 商品PR用など瞬時に」

10日付 読売新聞(大阪14版)2面(総合)「生成AI「リスク管理を」 読売・NTT提言 閣僚ら賛同や意見」