福井県に初新幹線 直通活かし海外観光客呼び込みへ

2月のある日、筆者は友人と海外旅行の計画に苦心していました。ヨーロッパで複数の国を周遊しようと考えていましたが、中々いいプランが思いつかなかったからです。一般的に、航空券は往復まとめてとると安く済みますが、何ヵ国か巡り、到着する国と出国する国が違うと航空券を別にとらなくてはならず、高くついてしまいます。都合の良いルートはないものかと調べていると、ユーロスターという高速鉄道の存在を知りました。

ユーロスターは、地下トンネルを通じてイギリス、フランス、ベルギー、オランダの4ヵ国を結ぶ国際列車のことです。わざわざ空港までいかなければならない飛行機と比べると圧倒的に便利で、入国審査や荷物チェックも空路よりスムーズに進み、国内旅行をしているかのように移動できます。これを活用して、筆者はフランス、ベルギー、イギリスの3ヵ国を旅行することができました。

筆者と同じような体験が、北陸新幹線の延伸開業によって福井県でも実現します。初めて新幹線が繋がったことで、乗り換えなしで、しかも従来より33分短い2時間51分で東京との間を移動することができます。とくに外国人観光客にとって乗り換えがなくなったことは朗報です。国によって異なる鉄道のルールに頭を悩ませることは、ヨーロッパで何度も乗り換えに失敗した筆者も体感済み。この列車に乗れば着くという安心感は、更なるインバウンドを呼び込むことでしょう。

福井県の喜びも一入のようで、地元の福井新聞が県内の各駅を新幹線が発車するたびに号外を連発したことがSNSなどで話題になっていました。それだけ待望されていたのでしょう。

ただ、重要なのはここからです。コロナ前(2019年)の調査では、福井県への外国人観光客の訪問率は0.21%、全国第46位と低迷しています。コロナ禍が明け円安が続く今、インバウンド需要を取り込むことは、地域経済の活性化に必要不可欠。県も新幹線開通を見据え、地元の名物である恐竜をアピールする観光施設や、外資系のホテルを新たに誘致するなど、訪日客を意識した取り組みを進めてきました。政府の旅行支援策「北陸応援割」も追い風に、北陸の経済が盛り上がることに期待します。

筆者のヨーロッパ旅のように、移動手段から決まる旅行もあります。そして、今回の開通は新大阪までの全線開通に向けた新たな一歩にもなります。福井県をはじめとした北陸の今後が楽しみです。

 

参考紙面

・16日付 北陸新幹線延伸、福井の観光客1割増へ 金沢―敦賀開業 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

・17日付 [スキャナー]誘客・復興に期待、北陸新幹線延伸…福井は「県民の悲願」で石川は「観光活性化」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

参考資料

福井県のインバウンド需要 | 訪日ラボ (honichi.com)

北陸応援割ポータルサイト (campaign-management.jp)