何か悪いことをしたら「ごめんなさい」。「すみません」「申し訳ありません」など表現や伝え方はさまざまですが、謝罪ひとつでピンチがチャンスになることもあります。「ごめんなさい」には、これまでの反省にとどまらず、これからの対応をしっかり見ていてくださいね、という自らへの戒めもあるのではないでしょうか。
そんな謝罪が社会から受け入れられ、好感度を上げた実例があります。「ガリガリ君」の謝罪CMです。今年4月、約25年ぶりに値上げされ、定価60円から70円になりました。そのCMが話題になり、値上げしたにも関わらず、販売数が約10%も伸びているというのです。
「ガリガリ君」は定番のソーダ味に加え、コーンポタージュ味などの話題性でもお馴染みのアイスキャンディー。食べるたびに「当たり棒」を期待してしまう方も多いのではないでしょうか。私もそのうちのひとりです。赤城乳業は1981年から販売を始め、年間4億本以上を売り上げています。
謝罪CMでは、「25年間踏んばりましたが、60→70」というテロップの中、役員や社員100人以上が一斉に頭を下げました。放映は2日間でしたが、インターネット上でも話題になりました。赤城乳業マーケティング部は「正直に真摯に伝えたことが、受け入れられたのだと思う」とコメントしています。
「10円の値上げでもこれほど丁寧に謝るのか」と消費者が逆に応援したくなる内容でした。「10円だが心苦しい、でもこれからもよろしくお願いします」という謙虚さが伝わってくるのです。短い文言を添えただけで潔く頭を下げることで、表面を取り繕った言い訳というマイナスの印象を感じさせないことを認識させられました。
まずは言い訳せずに謝る。その謝罪をどう感じ取るかは、受け手に任せる。この基本を改めて考えさせてくれる映像です。これを見習ってほしい人も組織もたくさんあります。自治体や企業のトップの顔が、みなさんの頭の中にも思い浮かぶのではないでしょうか。「真摯な反省と謝罪」を私たちは求めています。
参考記事:
17日付 読売新聞朝刊(東京13版)「ガリガリ君 70円でも買う!」28面(地域)