「さっぽろ雪まつり」をはじめとしたイベントやウィンタースポーツなどを目当てに多くの観光客が訪れる冬の北海道。
2月中旬は中華圏の旧正月(春節)にあたったこともあり、外国人観光客の姿も多く見られました。
◯さっぽろ雪まつり
今月4日から11日にかけて、大通公園を中心とした札幌市内の3会場(大通・すすきの・つどーむ)で「さっぽろ雪まつり」が開催されました。
実行委員会の発表によると、大通会場、つどーむ会場の来場者総数は昨年比36.5%増の約239万人でした。19年の約274万人には及びませんが、コロナ禍以前の賑わいを取り戻しつつあります。
中でも、巨大な雪の滑り台などのアトラクションがあり、ファミリー層が多く訪れるつどーむ会場は、コロナ禍を挟んで4年ぶりの再開でした。8日間で約63万人が訪れ、全体の来場者数を押し上げる要因となりました。
◯インバウンドの回復
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、昨年11月の道内における外国人延べ宿泊者数は約47万人泊(速報値)で、19年同月比14.5%増となりました。
東京(同69.6%増)や福岡(同71.9%増)に比べると増加ペースは鈍いものの、着実に海外からの客足は戻りつつあります。
筆者が通う北海道大学構内でも昨年よりも多くの外国人観光客を見かけるようになったと感じます。特に春節の時期には、中華圏からだと思われる旅行客を多く見かけました。
◯観光シーズンを襲った暖気
今冬の北海道は記録的な暖かさに見舞われています。
今日(19日)の札幌の最高気温は平年より13.2℃高い13.9℃。これは、4月下旬並みの暖かさです。
函館で5月上旬並みの16.0℃、流氷で有名な紋別でも6月下旬並みの17.1℃を記録するなど、道内各地で記録的な暖かさとなりました。
観光地にも影響が出ています。
支笏湖の水を吹き付けて凍らせたオブジェが立ち並ぶ「支笏湖氷濤まつり」。昨年は10万人超が訪れた人気のイベントです。
1月27日から2月25日までの開催予定でしたが、気温の上昇で氷像が崩れ、安全確保が困難となったため13日をもって中止となりました。
日程が数日ずれていれば「さっぽろ雪まつり」も中止を余儀なくされていたかも知れません。
実際、過去には気温上昇によって安全性の確保ができなくなった雪像が開催期間中に解体されたこともあります。
観光客数の回復と記録的な暖かさを経験したこの冬。
雪が北海道の観光に与える影響の大きさと、雪頼みの観光客誘致の危うさを改めて痛感したシーズンとなりました。
参考記事:
2月19日付 朝日新聞朝刊22面(北海道総合)「ぽかぽか、雪解けの街 4月並みの気温、雪崩など注意/北海道」
2月15日付 読売新聞朝刊27面(道社A)「氷濤まつり 高温で中止=北海道」
2023年2月25日付 北海道新聞朝刊16面「氷濤まつり 来場10万人超 前年の1.9倍 観光客急増 土日の渋滞対策課題」
2012年2月8日付 北海道新聞朝刊29面「雪像崩れ女性骨折 さっぽろ雪まつり 高さ3メートル暖気で 全会場を点検」
参考資料:
観光庁「宿泊旅行統計調査(2023年11月・第2次速報、2023年12月・第1次速報)」