スペインに留学してから、自分の名前がものすごく短いように感じさせられます。スペインやラテンアメリカでは、父方の姓、母方の姓の二つを持つことが一般的だからです。結婚後もこの姓が変わることはなく、夫婦別姓がとられています。夫婦の間に子が生まれた場合には、それぞれの父方の姓が与えられます。日本では、父方の姓を持つことが一般的です。また、夫婦別姓が認められていないため、結婚した場合には、夫か妻どちらか一つの姓を選び、片方が改姓しなければなりません。慣習的に、妻が改正することがほとんどです。2022年の結婚では、その割合は約95%を占めています。
一見、両者の状況は全く異なるように見えます。しかし、「父あるいは夫の姓を選択する」という慣習があることは、どちらにも共通しているのです。「伝統的な家族像」の残像が見えていると言えるのかもしれません。
法相の諮問機関である法制審議会は1996年、夫婦別姓を選ぶことができるようにする法改正を答申しているが、保守系議員らの反対で、今も実現していない。2021年の最高裁大法廷の決定では、15人の裁判官中4人が、夫婦同姓を定めた民法の規定は、両性の本質的平等を定めた憲法24条に違反するという意見を出している。 朝日新聞デジタルより引用
日本では、選択的夫婦別姓に向けた法整備はいまだ進んでいません。選択的夫婦別姓が実現したとしても、子の姓はどうするのかのように、新たな問題が浮かび上がってくるでしょう。私たちは、その都度議論し、ジェンダーに関係なく、誰もが納得できるような制度を築いていかなければなりません。
参考記事:
4日付 律令国家で女性活躍、頼朝は夫婦別姓 ジェンダー視点で歴史を見ると:朝日新聞デジタル (asahi.com)
11月17日付 婚姻届の記入例が夫の氏に誘導? 証人は男2人? ジェンダーに偏り:朝日新聞デジタル (asahi.com)