熊本地震本震発生から半月が経った5月1日、熊本県は安否が不明の大学生の陸上捜索を二次災害の危険があるとして中止した。最後の一人を見つけ出せないままの打ち切りとなった。これまで延べ2562人を動員したほか、無人重機や警察犬、小型無人飛行機なども使い捜索していた。
その旨を県警職員らに説明されたご両親は「半年でも1年でもかかると覚悟していた。こんなに早く結論が出るなんて」とやり切れない思いを打ち明けた。行方が分からない若者のご両親だ。「見つかるまで探せ」と心を乱してもおかしくない。それでも「決定は仕方がない。カメラで現場を監視してもらえるだけでもいい」と冷静に語っている。
誰も責めることの出来ない、この状況に筆者はもどかしさを感じる。ご両親だって誰かのせいに出来れば苦しみからいくらか逃れることもできるだろう。しかし、現実を受け止め、息子の安否を待ち続ける 。どこかで生きているのではないかという期待と、もう二度と会うことが出来ないのではないかという絶望を背負いながら。
県は今後、週に1回程度ヘリコプターによる捜索を続け、監視カメラよる確認を継続する。現場に通じる国道の復旧が進んだら、捜索を再開することもある、としている。そこは是が非でも再開してほしい。二次災害の危険がなくなってからでいい。どんなに時間が経とうとも、どんな再会の仕方であろうとも。それが唯一の救いになるのではないだろうか。
安否不明者の早期発見ならびに震災の復興を心よりお祈り申し上げます。
参考記事
2日付 朝日新聞 13版 27面 『晃 いるはずなのに』
同日付 日本経済新聞 13版 30面 『不明者捜索打ち切り』
同日付 読売新聞 13版 22面『捜索中止 涙の両親』