女性の働き方が見直されつつあるこの時代に、女性の健康問題は避けては通れないテーマでしょう。6日付の日経は、スタートアップ面で「フェムテック」市場の広がりを取り上げました。フェムテックとは「テクノロジーで女性の健康課題の解決に挑む」事業のこと。具体的には、生理や妊娠、更年期に関わるものがあります。2020年ごろから同分野のスタートアップは急増し、国内外を問わず事業は本格的に広がりつつあるといいます。
日経の記事では、東南アジアで展開される生理痛対策提案アプリや、国内向けの更年期症状のオンライン診療が紹介されていました。フェムテックをビジネスチャンスとして捉える日経の記事は、大変興味深いものです。しかしそれは一方で、健康課題に悩む女性が国内外に多くいて、彼女たちをサポートする体制が十分でない現状の裏返しでもあります。
学生の筆者にとって身近な問題は生理です。保健の授業では、生理の定義や仕組みについては教わりますが、その乗り越え方は教わりません。月経前症候群(PMS)についても、くわしく知ったのは最近のこと。大塚製薬が21年に実施した調査では、PMS で「仕事を辞めようと思ったことがある」という回答の割合は全体の41%を占めたのだとか。その具体的な症状としては、以下が挙げられます。
月経前、3〜10日の間続く精神的あるいは身体的症状。(中略)精神神経症状としてイライラや抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります(日本産科婦人科学会 HP)
症状は種類が多く、精神的なものも多く含まれます。そのため、不調の原因がそもそも生理なのかそうでないのか、筆者は自分自身でさえ分からないときがあります。また、人によって程度が違うため、それらがどれほど重い症状なのか、同じ女性同士でも想像することは難しいものです。ましてや男性では。男性の理解不足を一方的に責めることなどできません。
PMS に限らず、女性ならではの健康問題は「意思の弱さ」では片付けられません。女性の社会進出や立場向上に関連して、フェムテックへの関心が高まっているのは望ましいことです。今こそ、国や企業のサポートの拡充はもちろんのこと、私たちが自らの身体と科学的に向き合うことで、社会全体を根本から意識改革するチャンスではないでしょうか。
筆者は今、生理周期をベースに生活の計画を立て、PMS の症状を記録することで自分のメンタルを管理し、その効果を感じています。同時に、生理が自身の生活に明らかに影響していることも改めて実感してもいます。先述した日経記事の生理痛対策のアプリにも、PMS の症状を記録する機能があるのだとか。一月に一度、必ず心と体が不調になるなんてとんだ災難だけれど、その不調さえ乗り越えられたら常に絶好調でいられるかもしれない。時期を予測できるし、必ずくると分かっているものなら対策もできるのです。自分を責めることなく、毎日を快適に過ごせる女性が増えることを願います。
参考記事:
6日付 読売新聞朝刊(12版)13面「女性の健康 アジアで守る 働きやすさを改善」