考えるのは、家庭単位で「2時間あったら何をする?」

「2時間あったら何をする?」

小学生だったある日、学校の宿題に関連して、こんな質問を両親に投げかけたことがありました。母親は「家事を終わらせて、時間が余ればゆっくりしたい」、父親は「仕事を進めて、時間があれば昨日の野球の録画を見たい」と答えました。

当時、私はこの答えに疑問をもつことはありませんでした。

0.561。2023年ジェンダーギャップ指数における日本の経済分野の数値です。上位に入るアイスランドが同じ分野で0.8以上と完全平等の1に近かったのとは対照的に、日本は昨年よりも数値を落としています。

経済分野における男女の格差を生み出す一つが、女性の家庭内の家事、育児の負担の大きさなのではないでしょうか。

日本における妻と夫の育児関連時間の差は4時間半を超えるといいます。2021年の社会生活基本調査によれば、1日当たりの家事関連時間は妻が6時間32分なのに対して男性は1時間57分でした。

「チャイルドペナルティー(Child Penalty)」とは、出産や子どもを持つことによって生じる社会的に不利な状況のこと。出産や育児によるキャリアの中断や昇格昇進の遅れ、賃金格差や職場での居場所のなさなどで、キャリアを築く上で不利になり、仕事を辞めたり雇用形態を変えたりせざるをえないことが社会問題となっています。」(引用 日本の人事部「チャイルドペナルティー」)

育児にからむ「チャイルドペナルティー」は、とくに日本で顕著な傾向があるといいます。また、チャイルドペナルティーは、別名で「マザーフッドペナルティ(Motherhood Penalty)」呼ばれることもあるそうです。

「女性を労働力にするだけでは十分ではない」

女性労働の歴史と男女の賃金格差についての包括的な研究による功績で、2023年のノーベル経済賞を受賞したクラウディア・ゴールディン氏が日本に向けてこのような言葉を残しています。

チャイルドペナルティーや家事・育児時間の男女格差を考えると、企業だけでなく、それぞれの家庭ごとにも「女性また母親が働きやすい環境を作るには」ということを考える必要があると思います。

参考記事:

15日付 日本経済新聞日刊(12版)2面(総合1) 経済学賞が定義した男女格差

参考文献:

日本経済新聞電子版2023年9月26日「共働き夫婦の家事関連時間、妻が夫の3.4倍」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2092H0Q3A720C2000000/最終閲覧日2023年10月16日

 

日本の人事部2022年11月28日「チャイルドペナルティー」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1555/最終閲覧日2023年10月16日

 

内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html

最終閲覧日2023年10月16日