先日、島根県に旅行した際、松江城で馴染みのない言葉を目にしました。「神在月」。水燈路という松江城周辺をライトアップする光のイベント(9/23-10/15)のポスターに神在月の文字が踊っていました。
どこかで似たような言葉を聞いたことはないでしょうか。そう、旧暦の月名である「和風月名」の10月「神無月」に似ています。
和風月名をおさらいしておくと、
1月…睦月(むつき)
2月…如月(きさらぎ)
3月…弥生(やよい)
4月…卯月(うづき)
5月…皐月(さつき)
6月…水無月(みなづき)
7月…文月(ふみづき)
8月…葉月(はづき)
9月…長月(ながつき)
10月…神無月(かんなづき)
11月…霜月(しもつき)
12月…師走(しわす)
本来、10月は神無月のはずなのに、島根県とくに出雲の地域は神在月という名称を使っているそうです。
なぜ、出雲だけ10月を神在月と呼ぶのか。出雲といえば、出雲大社が有名ですがやはり大社が関係してきます。
調べてみると、〈出雲国で、陰暦10月の異称。この月に日本中の神々が出雲大社に集まるという伝説から、出雲以外では「神無月かんなづき」というのに対していう〉(デジタル大辞泉)と出てきます。
要するに、10月は全国の神様が出雲大社に一堂に会するから出雲周辺では「神在月」、それ以外では神様は出張中なので「神無月」というわけです。非常に日本らしい、奥が深い古人の考えが表れていると感じました。
それでは10月に出雲でどのような儀礼が行われているのか、島根県で出会った高校生の佐々木蘭さん(17)に聞いてみました。
「出雲大社や神社など神様が集まると言われている場所では、出雲に神様を迎える神迎祭(かみむかえさい)、全国の神様が出雲に1ヶ月滞在する神在祭(かみありさい)と全国の神様故郷にお見送りする神等去出祭(からさでさい)があると祖母から聞いたことがあります」
これらの行事は、現在11月に行われています。旧暦と新暦の関係で、日付が少しズレているのかもしれません。
出雲では、神在月に収穫期を迎える生姜を使用した「出雲生姜じんじゃエール」が人気です。神社を応援するジンジャーエールという意味がある当商品は、非常にユーモアがあります。
今回は、10月に絞りましたが旧暦6月の水無月と対比する「水在月」が存在するかどうかも気になります。今後調べていきます。
参考文献
デジタル大辞泉,2023,「神在月」.
9月30日付 朝日新聞 「(お宝発見ご当地食)出雲生姜じんじゃエール 出雲生姜屋 埋蔵エリア・島根県」.