近畿大学が完全養殖に成功したマグロ。つまり大学産のマグロが東京をはじめ、様々な市場に出回っています。テレビや雑誌でも、「今までのマグロよりも脂がのっていておいしい」とかなりの評判になっていました。
高級魚のマグロですが、食べられない部位は捨てていました。しかし、ここでも近畿大が脚光を浴びています。通常は捨ててしまう皮の部分から高品質のコラーゲンを抽出できる新たな技術を編み出しました。そして、その技術に目を付けた製菓会社「UHA味覚糖」が、新たにリップスクラブとグミのサプリメントの商品化を目指してきたそうです。
技術力とともに注目すべきは、この商品開発において、キャッチコピーを経営学部や文芸学部などの「文系」と呼ばれる学生たちが発案していた、ということです。学生ならではのアイデアと絶賛され、採用された作品が「そのくちびるでチューするの?」。
今、大学の再建が謳われており、特に、文系の学部については不要論まで飛び出しています。そんな中で、「産学連携」は一つの手段ではないかと思います。大学は年月をかけて培ってきた専門知識をたくさん蓄えています。それは、研究成果を世に出しやすい理系の研究だけではなく、文系の研究でも同じことが言えます。
求められていることは、グローバル化のなかで社会に役立つ学生を世に送り出すことかもしれません。しかし、それにとどまらず社会にとって有用な研究をしていることを、もっとアピールする必要もあるかと思います。確かに研究成果が世のためになっているかわかりづらいものもありますが、産学連携をはじめとする社会への貢献、これが大学に求められています。
早稲田大学創設者の大隈重信は「開かれた大学」を目指しました。その開かれた大学とは何か、もう一度考えるべきです。
参考:
朝日新聞朝刊10日付 東京14版 30面「「チューしたい唇」へ産学連携」