最近のメイクの主役はリップ。先日も、真っ赤な口紅を買いました。唇に紅をさすだけで、私は一日中上機嫌でいられます。「口紅を贈ると『あなたの顔が見たい』っていう告白になるかもね」。2年前、一緒にそんな未来に思いをはせたのは、マスク姿でお互いの顔を知らなかったバイト先の友人。毎日化粧を楽しんでいるいま、はるか遠い昔のことに思えます。
調査会社・インテージの調査によれば、今年1~5月、口紅は日用品の中でも大きく売り上げを増加させたそうです。名古屋市内の百貨店でも、口紅の売り上げが好調であることを読売新聞が6月に報じています。いずれも原因は、新型コロナウイルスの「5類」移行によるマスク着用ルールの緩和や、外出機会の増加。学校や職場でもマスクをはずす人がほとんどで、「普段通り」が戻ってきたような気がしてしまいます。
12日付の読売新聞朝刊には、今年の夏休み期間(7月16日~9月30日)に使われる平均予算は前年比1.2倍だという調査結果が載っていました。海外旅行を予定する人は、2.5倍に増えたのだとか。留学も旅行も祭りも、選択肢から無意識にはずしていた3年間。何をするか自由に選べる夏は久しぶりで、うれしい気持ちになります。
でも、夏が楽しみだからこそ、コロナ禍はなかったことにはならないと戒めなければなりません。大学生が被った「不幸」なんてささいなもの。生活に打撃を受けた方々の苦難、未曾有の事態に向かい合った医療従事者の方々の労苦、そして大切な人を失った方々の悲しみは、決して忘れてはいけないと思います。
また、ウイルスが消えたわけでもありません。むしろ増加傾向のいま、「第9波」の可能性を各紙が報じています。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」なんてことにならないよう、自分にできることから備える必要があるのではないでしょうか。
今日も、唇には華やかな色を。そうして自分の機嫌を上手にとりながら、大学生活という人生の「夏休み」を過ごす私たち。コロナ禍だからと言い訳をしてしまうこともあるけれど、いまこの瞬間を大切に、自分自身の戦いから逃げないでいたいです。
参考記事:
6月27日付
読売新聞オンライン「売れたもの上位に『検査薬』『強心剤』『ビタミンB1剤』…口紅・ほお紅も好調」
7月11日付
読売新聞朝刊(14版)社説「コロナ『第9波』 予防策をもう一度点検したい」
12日付
読売新聞朝刊(13版)10面「夏休み予算1.2倍」