「シロエビの天ぷら一丁お願いします」「あいよ」
最近、アルバイト先の蕎麦屋で、シロエビの天ぷらが期間限定で始まった。お客様の人気も高く、1日に複数回オーダーを取ることも少なくない。
20日土曜日、シロエビの卸値が1割高という記事を読んだ。水揚げ量は去年よりも若干多いが、PR活動の甲斐もあって知名度が高まり、価格を押し上げているという。
ここまで書いておいてなんだが、今回のテーマはシロエビそのものではない。その記事が載っている日本経済新聞のマーケット商品欄についてだ。
筆者は、この欄が好きだ。あまり目立つ面ではないが、「値段」という最も消費者が「なぜ?」と思いやすい切り口から、世界を覗くことができるからだ。
好きになったきっかけがある。2022年7月6日「価格は語る」というコラムの、「ハチミツ2割高 異常気象でハチの動き鈍く果物にも影響」という記事だ。
コロナ禍で健康志向が高まりハチミツの値段が上がった。これなら誰しも思いつきそうな理屈だ。ただ、それ以外にも異常気象に伴う天候不良の影響。近年注目されていたウクライナ産ハチミツの、ロシアの侵攻による大幅な輸入減。養蜂家の高齢化によりハチそのものの減少。ハチミツが「環境問題」「ウクライナ侵攻」「少子高齢化」へと繋がっていることを初めて知った。さらに受粉の仲立ちをするハチの減少は、他の作物にも影響がでることも教えられた、なんだか突然これらの社会問題が、身近に感じられるようになった。
日々私たちは何かを消費している。それはあまりに当たり前すぎることで、特別意識しないかもしれない。ただ、値段の奥には思いがけない要因が絡んでいることもある。
自分には程遠いと思っていた事柄が、本当はすごく身近なのかもしれない。そう思えた時、社会問題は自分ごとになるのではないだろうか。
参考記事:
20日付 日本経済新聞朝刊 17面(マーケット商品) 「シロエビ卸値1割高」
2022年7月6日 日経電子版 「ハチミツ2割高 異常気象でハチの活動鈍く果物にも影響」 ハチミツ2割高 異常気象でハチの活動鈍く果物にも影響 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
参考資料:
日経電子版 「価格は語る」 価格は語る 価格の「なぜ?」を掘り下げる (nikkei.com)