明日4月9日は、第20回統一地方選の前半戦の投開票日です。私の住む北海道では、道知事選、道議選、札幌市長選、札幌市議選が行われます。今回は、北海道の現状について概観したいと思います。
国土交通省は先月22日、2023年の公示地価(1月1日時点)を発表しました。今回のデータからは、札幌およびその近郊都市の将来的な発展への期待が読み取れます。
例えば、地価上昇率の全国上位10位までを、住宅地、商業地ともに北広島や恵庭、江別などの札幌近郊の地点が占めていました。住宅地に関しては上位100地点を北海道が独占しています。中でも先月開業した「北海道ボールパークFビレッジ」を擁する北広島の地価上昇が顕著になっています。住宅地と商業地の地価上昇率1位はいずれも北広島で、住宅地に関しては北広島市内の5地点が上昇率全国上位10位に入っています。
北海道新幹線の延伸を控え、再開発が進む札幌でも、地価が大幅に上昇しています。札幌市全体の上昇率は住宅地が15.0%(前年9.3%)、商業地が9.7%(同5.8%)と、一段と上昇傾向が強まっています。
しかし、札幌近郊の活況とは裏腹に、地方では衰退傾向が顕著にあらわれています。
例えば、地価下落率の全国ランキングでは、下位10地点のうち、住宅地で5地点、商業地は8地点が道内です。
人口減少も深刻な問題です。総人口は1997年の569.9万人をピークに減少に転じています。日本の総人口のピークが2008年ですから、日本全体よりも10年以上前から人口減少に直面していたことになります。その影響は各地で現れつつあります。相次ぐローカル線の廃止は、その顕著な例として挙げられるでしょう。先月31日には、留萌線の石狩沼田―留萌間の運行が終わりました。残る石狩沼田―深川間も3年後の廃線が予定されています。その他にも、多くの路線が廃止の危機に瀕しています。
札幌近郊だけでなく、道全体をいかに活性化していくか。これは今度の統一地方選挙での重要な論点の一つでしょう。
「北海道は日本の縮図」。大学の授業で若手テレビ記者が北海道で取材をする魅力を語った際に使われた言葉です。人や資本の都市部への集中、人口減少、ローカル線の相次ぐ廃止といった問題は、日本全体が直面している課題であり、北海道はその最前線に立たされているといっても過言ではありません。
北海道の現状を知ることで、自ずと日本全体の現状も見えてくるのではないでしょうか。今後も常にこのことを念頭に置きながら、取材活動を通じて、地域の現状を読者の皆様にお伝えしていきたいと思います。
参考記事:
3月23日付 読売新聞朝刊(東京12版)32面「公示地価 北広島 上昇率全国1位 住宅地 10位以内に5地点」
3月31日付 読売新聞夕刊(東京)8面「留萌線 ラストラン 石狩沼田―留萌間 残る区間も3年後廃線」
4月8日付 朝日新聞朝刊(13版)4面「2023統一地方選 前半戦あす投開票」
参考資料:
国土交通省 令和5年地価公示「住宅地の変動率上位順位表(全国)」