消費者としての知識 ありますか?

「契約の知識 20代が最低」

2月6日の日本経済新聞には、そんな消費者契約に関する記事が載っていました。消費者契約に関する知識を問う国の調査で、20代の正答率が全世代の中で最低だったようです。社会経験が浅いことが原因だと思われますが、10代の正答率は消費者教育を受けていることで底上げされていました。20代である筆者も知識の無さから最近までクレジットカードを作っていなかったこともあり、指摘は否めませんでした。

自分にはどれくらい知識が備わっているのか。気になった筆者は問題に挑戦してみました。調査で用いられた質問は見つけることができなかったので、その質問の基になっている消費者教育冊子教材『社会への扉』の冒頭に載っていた12の質問を解きました。

出典:消費者庁『社会への扉』

 

正解は、問1→③、問2→①、問3→②、問4→③、問5→①、問6→②、問7→②、問8→③、問9→①、問10→③、問11→②、問12→③、です。筆者は8問正解でした。すぐ解ける設問もあれば、知らなかったものもあるのではないかと思います。筆者は、3問目の「未成年者本人であっても未成年者取り消しができる」ことや、5問目の「ネットショッピングはクーリングオフできない」ことを初めて知りました。ネットショップは独自に返品のルールを定めているのだそうです。

この『社会への扉』は12ページしかありません。「成人として消費生活を送る上で、最低限必要な知識を習得し、消費者トラブルに遭ったときには適切な行動に結びつけることができる実践的な能力を育むことを目的として作成」されていると言います。消費者に欠かせない基礎知識を網羅しているわけで、簡単なものが多いこともあり一度授業を受ければ頭に入るでしょう。

筆者が解いた問題も、実際の調査の中身とそこまで大きな差はないはずです。それを踏まえて、もう一度紙面に目を向けてみると、全体の正答率の低さが気になってきました。一番低い20代の正答率が29.6%だったのは問題ですが、全年代の平均は34.6%とたった5ポイントしか離れていないのです。最も高かった60代でも37.5%、消費者教育を受けている15~19歳も35%ほどにとどまります。20代だけというよりは、全体的に低水準にあることが問題なのではないでしょうか。

消費者庁の調査より筆者作成

 

ちなみに、7つの領域に分けたうえでの全年代の正答率は以上の通りです。「投資」の項目以外は軒並み低く、「未成年取消権」や「購入した商品の解約」では、10%程度とひと際低くなっています。全体的に正答率が低いうえ、「契約の成立時期」や「クレジットカードの手数料」など、普段の生活に関わるような分野も正答率が5割を切っていることがわかります。

思い返せば、中学、高校、大学と、ほとんど契約に関する授業を受けてきませんでした。社会人になれば学ぶ機会はさらに減るでしょう。現行の消費者教育を見直すこと、そして、学校教育を終えた現役世代にどのように知識を身につけてもらうのか。考える必要があると思います。

 

参考記事:

・日経電子版「契約の知識、20代が最低 クーリングオフなど国調査: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

参考資料:

令和4年度生活意識調査(第4回)の結果について (caa.go.jp)

「社会への扉」全ページ一括 (caa.go.jp)