お笑いって、ええやん

友達と遊ぶとき、みなさん何をしますか?休みの日に、友達と約束をしてどこに行きますか?カラオケとか映画とかショッピングとか。あるいは、美術館や博物館なんていう人もいるかもしれませんね。友達と遊ぶのは何だって楽しいものです。笑いが絶えない一日。最高ですね。

スマホアプリ「LINE」など、様々なツールで友達とつながりやすくなりました。気軽に連絡を取り、予定を合わせ、遊びに行く。友達と直接的・間接的に過ごす時間が増える。それはとてもいいことだと思います。友達とつながりやすくなる分、そのつながりは強くもなるはずです。何ら問題はないでしょう。

一方で、友達との時間が増えることが「テレビ離れ」に結びついている。そう考えられなくもないでしょう。テレビ番組そのものが魅力を失っているのもあるかもしれません。しかしそれ以上に、他に時間を費やす方に魅力を感じる。たとえば、テレビをみるよりも友達と過ごす方が楽しい。テレビ離れが加速する要因は、そういった相対的なコンテンツの違いで考えた方が腑に落ちます。テレビをみるのは、基本的には無料です。無料でバラエティー番組などが楽しめるのです。それでも見ない。ましてや、お金を払って「お笑い」を見るなんて論外なのかもしれません。

それは寂しい。お金を払って見る「お笑い」にも、大いに価値はあります。

東京なら新宿に「ルミネtheよしもと」、浅草に「東洋館」。大阪なら難波千日前に「なんばグランド花月」、天満には落語の定席「天満天神繁昌亭」など、その他の地域にもお笑いの劇場がたくさんあります。お金を払ってお笑いを見る。テレビも見ない時代に何を言ってるんだと思われるかもしれません。それでも、友達とカラオケや映画に行くなど、選択肢のひとつに「お笑い」も入れてほしいのです。

なぜこんなことを言うのか。それは私自身の経験からです。見たい、見ておきたい、見るべきお笑いが姿を消しているからです。それも、興味を持つ前に。たとえば上方のお笑い。この2年のうちに多くの方が亡くなられています。漫才コンビ「海原さおり・しおり」の海原しおり、上方落語の巨星・桂米朝、漫才師「今いくよ・くるよ」の今いくよ、吉本新喜劇のスター・花紀京、女性漫才コンビの祖「海原お浜・小浜」の海原小浜、上方落語四天王最後のひとり・桂春団治。知らない名前が多いかもしれません。しかし、これだけ多いとあまりに悲しい。近年は一線から退いていた方もいますが、とても残念です。

私たち若い世代には、これからまだまだ機会があります。見に行けるチャンスがあります。何気なくふらっと行った劇場で、ビビッとくるものがあるかもしれません。どうか一度、足を運んでみてほしい。友達と「きょう、お笑い見に行こう」なんて会話が増えれば本望です。

 

参考記事:

20日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)社会面「花紀京さん・AスケBスケさん 殿堂入り」

同日付 読売新聞朝刊(同版)社会面「AスケBスケ・花紀京さん殿堂」