便利さと手軽さの裏、考える

 

 

普段私たちが使っているコミュニケーションツール「LINE」。気軽にメッセージやスタンプを送り合うことができ、非常に便利なSNSです。週刊文春は1月にタレントのベッキーさんと、「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんのスキャンダルを報じました。そこで浮上したのは、第三者に見られないはずの芸能人同士のLINEのやりとりが、なぜ流出したのかという疑問です。

 

無料通信アプリのLINEは、個人同士や複数の人のグループ内でメッセージを交わせますが、他人やグループ外からは見られないはずです。不安の声が相次ぎ、LINE側は1月22日に、公式見解を発表。一つのアカウントは1台のスマホでしか使えず、メールアドレスやパスワード(PW)、端末が適切に保護されていれば、「やりとりが第三者に渡ることはない」とコメントしました。

 

ITジャーナリストの三上洋さんは「クローンiPhone」の存在を指摘しています。iPhone利用者が機種変更し、パソコンを介して旧端末のデータを新端末にコピーする際、「暗号化バックアップ」を選ぶと、新端末で再びLINEを使うことが出来ます。さらに旧端末も「Wi-Fi」でネットに接続できる環境だと、LINEを使える状態が続き、新端末のやりとりを旧端末でも見られます。LINEに限らず、旧端末ではメールや住所録も引き続き見られるそうです。流出を防ぐためには、複雑で長いPWを設定したり、LINEや端末の操作時に番号入力が必要な設定にしたりするのが有効です。

スマホやSNSのおかげで、私たちのコミュニケーションの仕方は一気に便利になりました。一方、「リスクマネジメント」を考えることが後回しになっていると思います。自分が気を付けていても、メッセージをやりとりする相手の対策が行き届いていない場合もあります。もちろん、相手との信頼関係を築くことが第一です。ですが「手軽さ、便利さ」だけにとらわれず、「もしかしたら……」と考える余裕を持つことも私たち利用者に求められていることではないでしょうか。

 

「送信ボタン」を押す前に一度、考える。そうした利用者一人ひとりの意識がLINEに限らず、今後必要になってくるように思います。

 

参考記事:

5日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)29面(社会)「第三者には見られないはずなのに… LINE流出の怪」