外国人を受け入れる前に。日本人らしさとは何だろうか。

今日も各紙に『難民』や『移民』という文字が見られます。関心が高まっている問題だからでしょう。しかし、どうするのか結論がでていないのが現状です。法務省によると2015年の難民認定の申請数は7586人で許可を受けた人は106人。難民に限らず、移民や技能実習生と私たちはどう向き合っていけばよいのでしょう。「将来の労働人口の問題を考えて」あるいは「欧州と比較して」など理由は様々にあるかと思いますが、もっと受け入れるべきだと思いますか。それとも、治安の悪化などを考えて、安易に受け入れるべきではないと思いますか。皆さんはどちらでしょう。
本日の日本経済新聞でも『日曜に考える』の欄は難民問題についての議論がなされていました。
難民を助ける会の柳瀬房子氏は、難民の現状を指摘します。彼女は、10年も前から申請を認められず異議を申し立てた人たちと面談をしてきた1人です。日本では、申請者の多くが働く場所を求めている人々で、難民とは呼べないようなケースが少なくないと言われています。政府は彼らの対応に追われていて、真の難民にたどりつくことができないようです。
東大客員研究員の三浦瑠麗氏は、生活態度が違うものには過剰に反応しがちな風土を念頭に、日本固有の文化を全く理解できない人を受け入れれば恐ろしいことになると危惧しています。日本的な生活に同化していける人でないと共存は難しく、一方で日本人の側も共存する覚悟なしに難民を受け入れると排外主義を助長しかねないと言います。
気になるのは、日本の文明や文化が揺るがされないかという点です。日本は、中華文明でもインド文明でもない固有の文化や伝統に裏打ちされた社会を築いてきました。そこに異なる文化圏の者が入ってきたとき、警戒感を示すのは当然のように感じます。それはどこかで自分たちの文化が壊されないか意識しているからではないでしょうか。
遠からず難民や移民を受け入れざるをえない状況になるでしょう。
共存が必要になってくる時代だからこそ、私たちが守ろうとしているものは何なのかが問われるように思います。
日本の良さを保ちつつ外国人を受け入れ、偏狭な排外主義に陥らないためにも、「日本人らしさ」の意味を冷静に考える必要があります。

1月24日 日本経済新聞 第9面 日曜に考える 『日本の難民政策問題はどこに』