9ヵ国語も?ルクセンブルクの多言語主義

ヨーロッパへ旅行をしたとき、興味深い張り紙を見つけました。ゴミ箱に貼ってある紙には、9ヵ国の言語が表示されていたのです。日本の駅の表示などで韓国語や中国語を見ることはありますが、9か国語はなかなか聞いたことがないですよね。

(写真)筆者が撮影

 

◆多言語の国 ルクセンブルク

このゴミ箱の表示は、世界で最もお金持ちの国といわれるルクセンブルク大公国で見つけました。ルクセンブルクは、美しい渓谷と要塞によって囲まれた先にそびえたつ城が非常に印象的で、どこかのどかで平穏な街並みが素敵です。まさに私たちが思い描く中世のヨーロッパの景色そのもので、おとぎ話の世界に訪れたような気分になります。ドイツ、ベルギー、フランスの大国に囲まれた面積の小さな国ですが、1人当たりのGDPはなんと世界一。世界的に有名な銀行がとにかく沢山集まっています。フランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語を公用語とし、さらには英語を話せる人がほとんどを占めています。バイリンガルは当たり前で、その他にもスペイン語やイタリア語を話せる人がいるなど、多言語国家として知られています。

◆ルクセンブルクの成り立ち

しかし、現在の地位を築き上げるまでには長い歴史がありました。当時から多くの大国に挟まれていたルクセンブルクは、各国の侵略を受け続け、その立場は長らくの間安定していませんでした。そのため、使われる言語もその時代によって異なっていたのです。ルクセンブルクのルーツは、ローマ民族とゲルマン民族の二種類からきています。当時は二言語併用主義でしたが、ルクセンブルク語が国語として認められるようになってからは、多言語主義へと移り変わったそうです。

宿舎のスタッフも公用語だけでなく、流暢な英語を話すことができます。耳を澄まして聞こえてくるのはフランス語が多くても、ホテルにある洗濯機のボタンはドイツ語で書いてあったり、駅の看板はフランス語だったり。その場によって多言語を使い分けることのできるルクセンブルクの人々はすごいですよね。なかには、現地に住むアジア人を見かけることもありました。人口の半分近くを外国人居住者が占めるため、開放的なヨーロッパの縮図ともみられているそうです。

様々な文化や言語が入り混じってできたオープンな国ルクセンブルク。島国である日本とはまた違う雰囲気を楽しめます。

<豆知識>ルクセンブルクでは、公共交通機関を無料で乗ることができます。これは、自動車による渋滞問題やそれによる排気ガスなどの環境汚染を解決するために国が行った政策です。