新学期が始まったばかりの今、紙面にランドセルの記事を見つけ驚きました。最近では、ランドセル選びは「ラン活」とも呼ばれ、小学校に入る一年も前から始まっているそうです。気になって詳しく調べてみました。
筆者は、2007年の夏頃に約3万円のランドセルを買ってもらいました。その時に比べ、ランドセルは明らかに進化しています。カラーバリエーションやデザインは豊富になり、軽さや大きさ、耐久性など色々な機能を売りにした製品が、様々なブランドから毎年のようにモデルチェンジして出ています。今は小学校でもタブレットを使った授業があるので、その収納スペースが背中側にあるモデルも出たようです。時代の変化を感じます。
その一方で、価格も上昇しています。今は少子化によって子供一人にかけられる金額が増えたせいか、ランドセルの平均購入金額は年々上がっています。ランドセル工業会の調査を見ると、1990年から2000年代にかけては3万円台だった平均購入額が、2010年代から徐々に上がり始めていることが分かります。増税の影響もありますが、今年度はなんと5万6425円でした。
ここ10年で2万円も上昇しています。しかし、それはあくまでも最新モデルの話です。型落ちのランドセルは、楽天市場やAmazonなら安いものだと1万円前後で売られていいます。
進化を遂げているとはいえ、ここまで高くなった最新のランドセルをわざわざ買う必要があるのでしょうか。今のランドセル事情はどうなっているのか。近所に住んでいる小学4年生の男の子とその両親に話を伺いました。
男の子の通う小学校では、ランドセルを持っていない児童はほとんどいないようで、ランドセルはもちろん用意したそうです。しかし、知り合いからのおさがりで、なんと使いだしてから9年目になるそうです。見せてもらうと、多少の傷はあるものの、その年月を感じさせないほどしっかりしていて、金具の部分にも何の故障もありませんでした。タブレット教材も、真ん中にある広めのポケットを使えば入るので、全く不便を感じていないとのことでした。
家に帰って自分のランドセルも押し入れから引っ張り出してみると、幾度となくぶつけ、雨で濡らしていたはずなのに、想像よりきれいな状態で残っていました。
ランドセルは6年間使う、非常に大事なものです。だからこそ良いものを買いたいという思いは当然だと思います。だからといって最新のものを買うというのは正しい選択でしょうか。10年以上前のモデルも、9年使っているランドセルも、その丈夫さ故に今でも使えるものです。古いものの質が低いというわけではないのに、「ラン活」という言葉に踊らされ、割に合わない最新モデルを買う必要はありません。
近年、メーカー側が消費者の需要を操るようになっています。ランドセルに限らず日々の買い物でも、冷静な判断を心掛ける必要があるでしょう。
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7日付 朝日新聞朝刊(埼玉13版)28面(はぐくむ)「ランドセル なぜ早く高く?」
参考資料:
2021年12月18日 日経電子版 「ランドセル、20年で価格6割上昇 色鮮やかに進む大型化: 日本経済新聞 (nikkei.com)」