「今月の契約書類、まだ届かないなぁ……」。筆者は派遣のアルバイトをしていて、月初めには勤務契約書類が送られてきます。今月はなかなか届かず、疑問に思っていました。派遣会社に問い合わせると、「マイナンバー配達の影響と年末ということもあり、郵便事情が悪くなっている」。納得はしましたが、マイナンバー配達が私たちの生活に及ぼす影響を考えました。
これまで様々な議論があったマイナンバー。10月から、マイナンバーを個人に知らせる「通知カード」の配達が始まりました。とはいえ、まだ受け取っていない人は多く、これからさらに増える見込みです。日本郵便によると9日現在で、全国で配達する5684万7千通の99%以上を宛先に届けました。しかし、その9%弱、500万9千通は各市区町村に返送されています。
数字だけ見ると、「9割以上もすでに配達されているのか」と思います。しかし、目指す本人に届いていないケースが500万通以上にのぼるとは驚きです。郵便局員が再配達のために受取人の勤務先へ行くこともあるそうです。「担当のバイクの配達員だけでは追いつかない」と、普段は簡易書類の担当ではない局員も駆り出されています。全戸に簡易書類を配布するという前例のない取り組みに、郵便局の現場も混乱しています。受取人のサインを配達員が偽造するという問題も過去にはありました。
こうした配達の問題は防げなかったのでしょうか。前例がない取り組みだけに、どれだけの時間と労力がかかるのか推測が難しかったかもしれません。マイナンバー制度の導入を考える際に、届け方まで含めて議論すべきだったのではないかと思います。考えてみれば、日本郵便だけでこなすのも難しいと思います。複数の民間企業に協力してもらうなど、他にも対応の仕方はあったかもしれません。
いよいよ年明けから運用が始まります。郵便局員さんにとって今年の「師走」は、例年よりもたくさん走らなくてはいけない月になっているようです。
参考記事:
12月11日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「マイナンバー500万通返送 受取人不在で自治体に」,16面(大阪10版)(オピニオン)『社説余滴 マイナンバー「なぜ」を語れ』,39面(社会)「さまようマイナンバー 返送次々 焦る自治体」