18歳以下への10万円給付が決まり、19日にも閣議決定する財政支出が40兆円を超える見通しであることが報じられました。与党内では、国全体の需要不足が年換算で22兆円ほどであることを根拠に、30兆円規模の経済対策を求める声があったそうです。今回の財政支出は、生活支援策が予算を押し上げて40兆円規模になると見込まれています。
そもそも、大学生は18歳以上。給付開始日までに誕生日が来る大学1年生を除いて、大学生は対象外です。では、私たち大学生が恩恵を受けられる政策は何があるのでしょうか。
公明党は衆院選から、マイナンバーカードに1人当たり3万円相当のポイントを付けることを公約としていました。今回の財政支出を押し上げる原因にもなっています。最大5000円相当のマイナポイントが付与される現在のマイナポイント事業は、2020年9月から実施されました。ポイント付与事業が開始する前、2020年7月5日の朝日新聞には「マイナポイント 幻の1万円案が頓挫した理由は」との見出しで、ポイント付与額を5000円相当に決定した背景が書かれていました。
新型コロナウイルスの感染が広がり始めた今春には、上限額を5千円から1万円以上に引き上げる案も政府内で浮上した。感染の収束後に消費を底上げさせるきっかけに、お得感を前面に打ち出す発想だった。しかし、マイナンバーカードの普及率が2割にも届かない現状に「受けられる恩恵の差が大きい」との意見が出て、還元額を倍増させる案は幻に終わった。
実施から1年経った今年9月7日、5000円相当のマイナポイント受け取りの未手続者が2700万人に上ることが日経新聞で報じられました。受け取り対象となるのは、今年4月末までにマイナカードの申請をした4931万人。ポイントを受け取る条件のキャッシュレスサービスとひも付けを完了した人は、9月2日時点で約2265万人です。つまり、ポイントを受け取れる人の中で、実際に受け取った人は半分以下であるということです。キャッシュレス決済の促進を狙ったマイナポイント。追加付与を検討している今、その効果は限定的ではないのでしょうか。
マイナンバー導入の当初の目的は、行政機関の手続きを迅速に行うことが出来るようにするためです。そのマイナンバーが印刷されたマイナカードは、身分証明書として利用できるとされています。しかし、私たち大学生は、学生証か運転免許証を身分証明に使うことが多く、筆者の知る中でも、マイナカードを持ち歩いている人は少数派です。
10月20日より、対応する一部の施設ではマイナカードが保険証代わりに使えるようになりました。総務省のホームページによると、医療機関・薬局は12桁のマイナンバーは取り扱わず、マイナカードICチップ内の電子証明書を使って手続するとのことです。そうなれば、1枚で済むとは言え、わざわざマイナンバーが印刷されたマイナカードを使う必要はあるのでしょうか。紛失した際の手続きも考えると、多少の不安が残ります。
マイナンバーの必要性は理解できますが、マイナカードを日常で使うことには少し抵抗があります。不安を払拭し、本来の狙い通り、マイナカードが身分証明書として広く普及するのはいつになるのでしょうか。
参考記事:
13日付 日本経済新聞朝刊(東京12版)5面「経済政策 乏しい成長投資」
9月7日 日経電子版 「マイナポイント、未手続き2700万人は21年中に5000円を」
11月5日 日経電子版 「マイナポイント第2弾・GoTo再開を明記 経済対策の原案」
2020年7月5日 朝日新聞デジタル 「マイナポイント 幻の1万円案が頓挫した理由は」
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