児童虐待。罪のない子どもが被害者となる悲しい事件が起こるたびに注目される問題ですが、その話題は世間からすぐに消えていってしまいます。その実態はどうなっているのでしょうか。8日の厚生労働省の発表によると、2013年度に児童虐待による死亡が確認された子どもは69人で、無理心中以外の36人のうち0歳児が4割強を占めていました。また、加害者の4割強が実母ということも分かっています。
皆さんはこの事実をどう受け止めますか。数字だけ見ると案外少ないと感じる方もいるかもしれません。しかしながら、それは亡くなった人数の問題であって実際に虐待を受けている子どもの数は急激に増えています。全国の児童相談所が14年度に対応した児童虐待件数の速報値は8万8931件で、24年連続で過去最多を更新しているのです。なぜ、年々増加の一途をたどるのでしょうか。
記事は、虐待を受けた子どもが将来親となったときに、自分の子どもにも自らがされたように接してしまう「虐待の連鎖」とも言えるような現状を伝えています。この流れに歯止めをかけ、被害にあう子供をどう減らしていけば良いのでしょうか。私は、学校教育に一つの可能性があるのではないかと感じています。
児童虐待の原因として、望まない妊娠をしてしまったということが挙げられます。学校教育では、中学や高校生の年齢から切実な問題として生徒たちに現状を伝えることも必要になってくるでしょう。不幸な虐待の連鎖を止めるためには、こうした早い時期からの取り組みが大事になってきます。
こうした事件の対応に当たる児童福祉司は15年間で2.3倍に増えています。まだまだ現状に追いつかない面はあるものの、日々対策が打たれています。となると、やはり必要になってくるのは、将来の親世代にどのような教育を施すかということでしょう。現在の視点である「生徒たちの中に被害者がいるかもしれない」というものに、「現在の生徒たちは、将来の親になる」という認識も加えることで、新たな解決の道を探ることができないでしょうか。
参考記事:9日付朝日新聞朝刊(東京14班)1面「児童虐待で死亡13年度69人」同2面「虐待 その向こうに」