「教育学部ってなくなるの?法学部はなくならないよね?」
現役大学生にとって、文科相が国立大学の教員養成系や人文社会科学系の学部、大学の廃止を求めたことは衝撃的なニュースでした。大学が就職活動や資格試験のための学校になってしまい、本来の目的である研究活動がおろそかになっていることは知られている通りです。私が通う学部では、もっと素直に言えば、「研究活動ってなに」という感じです。しかし、だからこそ大学それぞれが何を売りにしていくのか、大学のあり方が問われます。
廃止論のターゲットになってしまった教育学部ではすでにさまざまな取り組みが始まっています。学部生が中心となった住民向けの総合型地域スポーツクラブがひとつの例です。スポーツクラブは住民がさまざまな競技を楽しむための組織です。愛媛大ではこの活動に参加することで単位認定され、必修科目にもなっているそうです。将来は教師やスポーツ指導者を目指す学生が多いといいます。
教員を目指す学生にとって、教員養成系の大学のプログラムは自分の将来を考える大きなきっかけになり、同時に社会とのつながりが生まれます。このような機会を用意できるのは、大学ならではでしょう。もちろん研究活動も大切です。それでも自分の将来を想像し、つなげることも大学生にとっては必要です。
「今の大学は、大学としての価値をなしていない」。そのように言う人もいます。でも私は思います。今の大学に重要なものは、それぞれが独自の目的を生み出し、学生に自由な活動をさせられる環境を整えることしかありません。
参考記事:
27日付朝日新聞朝刊(東京13版)33面(教育)「スポーツの『分析』最前線 大学が住民向けクラブ」