薄暗くなった国会周辺で色とりどりの蛍光ペンライトが光を放つ。鳴り響く軽快な太鼓の音。「廃案!廃案!」「戦争反対!」安全保障関連法案への抗議行動が14日夜、国会議事堂前とその周辺で行われました。主催者発表によると、参加者は4万5千人。
現場は朝日新聞の記事にあるように、まさに「喧噪(けんそう)の中」でした。抗議行動の開始前から参加者が詰めかけ、歩道は身動きが取れません。「道路をあけろ!」という叫び声があがり、参加者は車道にあふれ出します。そして車両の間を埋めつくしました。
参加者に話を聞くことができました。いままで全く興味のなかったものの、友人に誘われたという女子大学生は話します。「正直、興味がなかったが、この光景を見て驚きました」。一度、父と一緒に来たことがきっかけで二度目の参加をした男子高校生もいました。自分一人で加わった人は少なくないですが、最近では興味があまりないという身近な人にも声を掛け、連れ立って行く人が増えたような気がします。
自民党は14日の役員会で、参院で審議中の安全保障関連法案を18日までに成立させる方針を確認しています。一方の国会前デモは、予定されるだけでも、18日まで連日続けられるそうです。
衆参両院の特別委員会での審議を合計すると約200時間。法案によって、将来、日本の防衛が強固になったならば「成立して良かった」。はたまた、戦争にでもなれば「成立すべきではなかった」。自ら勉強し、どちらに重きを置くのか真剣に考える人が増えた気がします。国会の会期延期によって審議に時間をかけたことやデモの広がりを受けた影響でしょう。
そして私は、現在の日本を取り巻く危機を遠ざけ、戦争を回避するためには法案が必要だと考えるようになりました。しかし、デモに参加した人々の声を聞き流すわけにはいきません。法案の中身、日本の置かれている状況、法案審議の過程、成立後の法律運営に至るまでの総合的な話し合いがもっと必要でしょう。現在の国会の進め方にも疑問が残ります。今週、政府がどのような結論を導き出すのか目が離せません。
参考記事:15日付 各紙朝刊 関連面