先日アルバイト先で、男性が赤ちゃんを抱っこしながら買い物する姿を見かけました。いいお父さんだなあと感心しましたが、よく考えると当たり前であるはずです。女性だったら、いいお母さんだなとは思わないからです。それが男性になると、それが特別なことのように映ります。
「イクメン」という言葉を耳にしたことがあると思います。子育てを積極的に手伝う男性のことです。この言葉は一時期ブームになり、2010年の流行語大賞ではトップテン入りを果たしました。職場で見かけた男性も、これに当たるのかもしれません。
しかし、「イクメン」という言葉に違和感を覚えるといった投稿がツイッターで話題になった時期があります。コメント欄を覗くと、「自分の子どもを育てるのは当たり前だ」「妻ひとりが子供を育てるのではない」といった声が多数寄せられていました。子育ては夫婦二人で協力し合うものだという認識が広がってきていることがうかがえます。
夫婦が協力し合う子育てを後押しするものに、育休制度があります。一般的に、子供が生まれてから1歳になるまでの間に取ることができます。さらに女性の場合、出産予定日の6週間前から産後8週間、産休も取ることができます。
女性には育休、産休共にあるものの、男性に産休というものは存在しないと思っていました。ところが、2日付の朝日新聞朝刊では、名古屋市北区にある保育園の運営を行う会社が、男性のための産前休暇制度を導入したと報じられていました。妻の産前に男性も休みを取ることができるというものです。
この制度を利用すると妻の出産予定日の6週間前から、産前産後5日間の有給休暇を男性社員が取ることができるそうです。産前に夫が家庭のことをしっかり知ること。これが新制度の狙いだそうです。
この会社の社長さんは、
「産前に夫が妻から家事のスキルを学んだり、産後のお互いの役割を確認したりすることで安心につながる。」
と話しています。
しかし、残念ながら、日本では男性を対象にした産前育休はおろか、産後の育休制度ですら浸透しているというまでには至っていません。日本人男性の育休取得率は10%にも達しません。理由として、周りの目が気になる、周りの理解が得られないといった事情があるようです。
自分の子どもを責任もって育てるのが親の役割ですが、並大抵なことではありません。だからこそ、子育てには周りの理解と助けが不可欠です。世の中のお父さん、お母さんに優しい環境をつくる。これこそが周囲の人たちが心がけるべきことなのだと感じます。
参考記事:
2日付 朝日新聞朝刊(愛知14版)22面 +Cライフ「妻に家事学び、役割確認を」