沖縄県は毎年6月23日を慰霊の日に制定しています。太平洋戦争における沖縄戦での組織的な戦闘が終結した日です。沖縄戦は激しい地上戦でした。住民を含む20万人以上の犠牲者をはじめ、すべての戦没者の冥福と世界の恒久平和を願う日です。糸満市摩文仁の平和祈念公園では毎年、沖縄全戦没者追悼式が行われます。今年の追悼式には安倍晋三首相やキャロライン・ケネディ駐日米大使が出席する予定です。
17日の朝日新聞の記事に沖縄県内の有権者を対象に県民世論調査が載っていました。
沖縄戦の記憶について「風化している」と答えた人が68%
その2日後の記事に、那覇市では20日、若者が繁華街をパレードしながら平和や戦争についての思いをスピーチするイベントを開いたと書いてありました。日本で唯一、地上戦を経験した沖縄県民でさえも記憶が風化しつつあるのかもしれません。でも歴史の流れの中に埋没させないように行動する若者がいると知りました。
風化させないように訴えかけ、戦争について考えようと声をあげています。でも、その思いをきちんと受け取ろうとしない人が多いのではないでしょうか。
よく沖縄県に関するニュースをみると「戦争の痛みを理解しよう。沖縄県の人の気持ちに寄り添うようにするのが大切だよね。」と頭の中では考えます。でも個人としてなにも行動することができません。
先週、大学のキャンパス内に突然、大きな黄色いテントが出現しました。大学院で写真展を主催していたのです。写真家が沖縄での戦争の爪痕を写していました。私は、最初そのテントに入ろうか迷いました。ひと気も少ないですし…。だれも入っていない感じもしますし…。でも「慰霊の日」のことを思い出し、知らなくてはいけないという思いに駆られたので覗いてみました。何も行動できない私ですが、きちんと立ち止まって聴いてみることで記憶が薄れていく前に記録として残そうと訴えている人の声に気がつきます。見向きもしないことが風化を促しているかもしれません。
沖縄県には恐怖や絶望、悲しみが刻み込まれています。そこに住む人は本土とは比べものにならない「平和」を切望しているのでしょう。私たちも風化させない責任があります。あの土地でなにが起きたのか、今どんな動きがあるのか―知ろうとする意識の維持が必要なのです。今の平和は、たくさんの犠牲者の上に成り立っています。今日の日の意味を考えることでなにか変わることを信じています。
参考記事:
6月17日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面「「記憶が風化」68% 沖縄戦、朝日新聞社が県民調査」
6月23日付朝日新聞朝刊(東京14版)38面「沖縄、戦後70年の「慰霊の日」」
6月23日付日経新聞朝刊(東京14版)43面「沖縄「慰霊の日」」
6月23日付読売新聞朝刊(東京14版)38面「きょう「沖縄慰霊の日」」