本物の日本酒を世界に

政府のクールジャパン戦略の一環で、国税庁が年内にも「日本酒」について、「地理的表示」として指定する予定です。これは、海外で「ジャパニーズ・サケ」と名乗れる清酒を、国産米や国内の水を使って国内でつくられた清酒に限る、というものです。海外産のコメを原料にしたものや、海外で醸造したものではなく、本物の日本酒を世界で味わってもらうことが狙いです。

これは、まだ世界に十分には流通していない日本酒にとって、よい流れであると考えます。先日、日本酒の美味しい秋田県で、オーストラリアの日本酒バイヤーの方とお話をする機会がありました。オーストラリアのレストランで「ジャパニーズ・サケ」を頼んでも、本物の日本酒はあまり出てこず、例えば「熱燗」を安い価格で頼んでしまうと、料理酒のようなものを適当に温めたものがでてくるそうです。日本酒は、他のお酒と全く異なり、独特な風味であるために、初めて口にする人には特に、本物の美味しいものを召し上がってほしいものです。本家でないものを「この程度か」と思われて、敬遠されるのは大変もったいなく、日本の酒造メーカーにとってもせっかくのビジネスチャンスを逃しかねない問題です。

まだ十分に海外に出回っていない分、海外の方が一番初めに口にするものこそ美味しい物であってほしいと思います。オーストラリアのバイヤーも、秋田の居酒屋で本物の日本酒を飲んで、この質はオーストラリアではまだ味わえない、と口をそろえていました。

日豪EPAと言っても、やはりまだまだ高い日本酒。流通経路などの問題で、日本酒がまだ海外に流通していない現状。もっと日本酒の魅力を伝える必要がありそうです。そのためにも、一口目は、本物の「ジャパニーズ・サケ」を味わってほしいものです。

 

参考にした記事:

6月9日付 朝日新聞(13版)朝刊1面「日本酒 純国産に限る」