「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」― 新型コロナウイルスという脅威を前に、現代の世界を生きる我々に与えられた課題だ。
実はこの3つのキーワードは、2025年に大阪の夢洲で開かれる大阪・関西万博のテーマとして以前から掲げられていた。万博の最大テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」は、くしくも全世界がこのコロナ禍で目指す共通の目標となった。
未来の社会を考える上で、最近「地球市民」という言葉をよく聞く。簡単に説明すると、「自分が地球社会の一員であり、そこに参画する責任を持つ市民だという意識を持っている人」のことである。大学の授業でもこの言葉をよく耳にするし、オンラインで講演を配信しているTED Talksでもglobal citizenship(地球市民)をテーマとしたスピーチが多いことに気づく。現在就活中の私は、ある企業の適性検査テストで自分の「地球市民度」が検査項目に入っていたことに驚いた。それだけ、これからの社会を生きる上で地球市民であることが求められているということだろう。
私にとって地球市民とは、自分のコミュニティを超えて社会貢献できる人だ。それが例え世界規模でなくても、自分から周りに働きかけられることが大切だと思う。
普段私たちは自分の身の回りのことで精一杯になってしまう。特にこのコロナ禍では自らと家族さえ健康であれば良いという意識から、視野が狭くなった人が多いように感じる。しかし、この姿は地球市民とは程遠いだろう。自戒を込めて。
2025年、貧困や少子高齢化、エネルギーなど世界が抱えるあらゆる課題の解決に向けて、世界中の最先端技術や知恵が、大阪の夢洲に集結する。世界がコロナ禍を乗り越えた先にある「持続可能な世界」を今回の大阪・関西万博で発信できることに私はとても誇りを感じる。その分、日本に住む我々は企業、個人の両レベルでSDGsを行動に取り入れたり、このコロナ禍で登場した「新しい生活様式」を地に着いたものにしたりと、地球市民の意識を高めていく必要があると思う。
私はこの万博が楽しみでならない。2025年、その時私は25歳。どんな大人、どんな地球市民になっているだろう。
参考記事:
22日付 日本経済新聞朝刊 21,22,33面(特集)「オール関西、コロナに挑む「感染症防ぐ」技術結集」