オリックス監督交代にみる「リーダーの資質」

決着が着いたわけではないが、現時点で、十分な成績ではない。ただただ、私の力不足。

オリックスの森脇浩司監督は2日、成績不振の責任を取り、休養することを発表しました。事実上の退任です。来季までの契約を残しながら、森脇監督は現場を去ります。

ここまでオリックスは19勝34敗1分のリーグ最下位。首位とのゲーム差は13と、大きくひらいています。大型補強により獲得した新戦力はそろって振るわず、若手の台頭もほとんどない。監督の采配にもブレが生じ、チームとしてのまとまりが欠けてしまいました。指揮官の交代によって、オリックスはどこまで復調できるのか。シーズンはまだまだ序盤です。

このニュースを見て思いました。「リーダーとは、どうあるべきなのか」と。トップとしてどう振る舞い、どうやって周囲から信頼を得るのか。私は中高と部活動でキャプテンを務めました。誰よりも元気に明るく取り組み、ふざけている部員がいれば叱る。時には口ではなく、練習に黙々と励むなど、背中でキャプテンとしての姿勢を見せました。

私はキャプテンとして完璧だったのか。いまでも考えます。リーダーに求められるもの、リーダーのあるべき姿とは、いったい何なのでしょう。

感情に流されることなく、(中略)自分で考え、自分の力で問題を解決するように導いていく。

日本証券業協会会長の稲野和利さんは、そういった姿勢が上に立つ者には必要だと言います。自分から注意をするのは簡単です。問題は、相手自身に気付かせることです。この状況はおかしい、こうあるべきだ、だから自分はこうしよう─。そんな風に考えてくれる仲間がいれば、さぞ心強いことでしょう。

リーダーはその集団のひとりに過ぎません。絶対的な存在ではなく、時には失敗もするでしょう。そんな時、周囲がいかに進言してくれるか。そんな「風通しの良さ」を作り上げる資質が、リーダーには求められているのでしょう。オリックスの森脇監督がリーダーとしてふさわしくなかったとは言いません。ただ、選手やコーチを含め、チームが「一丸」となって戦う雰囲気は見えません。団結を強固にすることこそが、リーダーの真の役目なのです。

 

参考記事:

3日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)オピニオン面「リーダーに求める」、スポーツ面「オリ森脇監督が休養」

同日付 読売新聞朝刊(同版)スポーツ面「森脇監督休養 低迷『私の力不足』」