幸せを運ぶ、卵なしプリン

コロナがいよいよ私の身に迫ってきている気がします。友人は高熱が続いていて、昨日PCR検査をしたそうです。結果は明日わかるようで、陽性だとしても軽症であることを祈るばかりです。その友人とはしばらく会っていないのですが、私もいつ感染してもおかしくないなという不安が一気に押し寄せてきました。

ここ最近外に出るのはお散歩と食料品の買い物だけ。そんな生活でもちょっとした幸せがありました。

先日、自宅近くのコンビニに行ったときのことです。プリンが売っていたのです。普通のものではありません。卵なしの「植物生まれのプッチンプリン」です。卵や乳といった動物原料を使用しないもので、豆乳とアーモンドペーストを使用しています。私は生まれつき卵アレルギーがあるので、今までプリンを食べたことがありませんでした。先日、朝日新聞でこの商品が紹介されていて、その存在は知っていましたが、近所のスーパーにはなく、コンビニで見かけたときは心が躍りました。即購入です。

植物生まれのプッチンプリン やさしい甘さ、税別140円、4月16日筆者撮影。

初プッチンプリン。口に入れた瞬間、幸せに包み込まれる感じがしました。想像していたよりも甘かったです。

なぜここまで気分が舞い上がるのか。卵アレルギーは我慢の連続だったからです。3時のおやつに食べるものには卵が入っているものが多いと思います。ケーキやクッキー、マカロン、パンケーキ。幼い時から、友達と過ごすときには、決まって、ゼリーやおせんべいなどの別メニューでした。やっぱりみんなと同じものを食べたいし、いちいち卵アレルギーと説明するのも面倒でした。食物アレルギーは年齢とともに改善される人が多いといいますが、私は今も治りません。いまでは、以前のような卵入りのものを食べたいという願望はなくなりました。

でも、卵なしのものが発売されたとなると、話は別です。心の底では食べたかったのです。

発売されたのは先月、3月16日。なぜこの時期に発売したのだろうか。私がもっと小さい頃に作っていてほしかったなあと、製造している江崎グリコに問い合わせをしたくなりました。同時にお礼を言いたくもありました。けれども、残念なことに、コロナ対策で従業員が在宅勤務になるため、電話での受付は4月10日から休止していました。それでも諦めきれず、メールフォームで問い合わせました。

数時間後に返信がきました。温かい言葉を励みに、これからも邁進していくという言葉と、商品開発については、食品産業新聞の記事を参考にしてほしいとのことでした。記事には、「アレルギーや宗教に関係なくだれでも食べられるプリンを作るのが使命だと考えた」とありました。アレルギーだけでなく、宗教で食べられない人もいるのかと新しい発見でした。私の想像ですが、SNSが当たり前になって、お客さんの声を吸い上げやすいのではないかと思います。今後、どんな人でも楽しく食事ができる世の中になってほしいものです。

後日、卵ありのものと食べ比べをしたいという母の提案で、もう一度コンビニで買うことになりました。両方口にした母曰く、味や食感に大差ないそうです。

今朝の日経新聞には、デザート専門のレストランが紹介されていました。ショートケーキ、クリームブリュレ、イチゴのバターサンドなど、飲み物などのペアリング付きで2万円弱。甘いものに目がなく、コロナで息が詰まりそうな私は、紙面を大きく割いた写真を見るだけでも、つい食べてみたいなと思いました。ですが、卵アレルギーでは食べられそうにありません。そう考えると、植物生まれのプリンが家で食べられるのは嬉しい。気持ちが満たされました。家籠り生活はまだまだ続きそうです。小さな幸せを大切にして、疲れた心を癒しましょう。

参考記事:

19日付日本経済新聞朝刊9、10面(NIKKEI The STYLE)「越境するデザート」