近年、多くの欠かすことのできない存在となっているインターネット。つい十数年前までは、携帯電話はメールや電話をすることが主たる目的で、動画を見ることはできたもののそこまで大きな役割を占めていませんでした。
しかし、スマホが急速に普及し、「小さなパソコン」が手のひらにやってきたことで状況は一変。従来のメールや電話のみならず、動画の視聴やインターネット検索、そして何よりSNSが誕生したことにより(従来からmixiなどは存在していましたが)、だれでも気軽に情報を発信することが当たり前となりました。また、紙で出版されていたものが電子化される流れも発生し、漫画をアプリで読むことも増えてきました。
一方、それにより弊害も起きています。インターネット上で有料で販売されている電子書籍が、まったく関係のない別サイトに無断転載される事態が起きています。これは何もつい最近の話ではなく、何年も経過している問題です。経済的な問題としては、漫画を有料で販売していた場合はその料金や紙の漫画の場合は単行本の売り上げ減少、作者への報酬、そして漫画を出版している製本企業など影響は多方面に及びます。
こうしたサイトは「海賊版」と呼ばれ社会問題になっています。昨年9月、海賊版サイト「漫画村」を運営していた男が逮捕されました。このサイトを閲覧していた人は延べ6億2,000万人にのぼり、本来出版社や作者に支払われるはずだった金額など被害額は3,200億円に達する見込みです。ほかにも「はるか夢の址」というサイトでも700億円を超える被害を生み出していました。
国も黙って見過ごしていたわけではありません。当初、文化庁が示した対策案では、インターネットの漫画や雑誌、写真など全著作物のダウンロードを違法化することになっていましたが、スクリーンショットの機能で写り込んだ場合でも違法になるため反発の声が上がり、結局数十ページに上る漫画の1コマなどは対象から除外することになりました。
政府は10日、こうした対策を盛り込んだ著作権法改正案を国会に提出しました。来年1月の施行を目指すとしています。
有償で提供されている漫画を無断でネットにアップロードし、そのサイトの広告収入で大金を稼ぐ。作者と出版社が不在の中でお金儲けすることは断じて許されるものではありません。同時に、そうしたサイトを利用しないよう、私たち一人一人のモラルも求められています。利用者がいたからこそここまで大きな被害へとつながってしまいました。正当な対価を支払ってこそ、正当な楽しみを得る権利があるはずです。
参考記事:
11日付 読売新聞朝刊 4面(政治)「「海賊版」対策 強化決定」
参考資料:
朝日新聞デジタル「「漫画村」運営者?星野容疑者を逮捕 著作権法違反容疑」
https://www.asahi.com/articles/ASM9S3FT6M9STIPE009.html
日本経済新聞「海賊版対策、軽微なダウンロード容認へ 文化庁」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52657920X21C19A1CR0000/
追記:
この投稿をもちまして、筆者による記事は終わりとなります。春から社会人となる身として、これからも世の中で何が起きているのかを徹底的に追い続け、自分なりの論理的な意見を持ち続けます。春から新メンバーによる投稿も始まります。暖かく見守っていただけると幸いです。私も見守り続けます。拙い文章ではありましたが、これまで読んでいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。