みなさん、夜間中学校をご存知ですか。
日本では、中学校までは義務教育となっていますが、様々な事情により中学を卒業できなかった人々のために設置されています。この夜間中学校について、文部科学省がどの程度ニーズがあるかを初めて調査しました。ボランティアたちが運営する、似たような取り組みが154市区町に広がっている一方、自治体として夜間中学を置いているのは8都府県25市区に留まっています。公的サービスが対応しきれていないニーズを、ボランティアが補っているのが現状のようです。
日本のグローバル化や国際結婚の増加に伴い、ニーズはさらに多様になっています。紙面で紹介されたのは、東京都足立区の区立第四中学校夜間学級。15歳から85歳までという幅広い年代の75人が学んでいます。さらに、全生徒の7割にあたる54人を中国、フィリピンなど9か国出身の外国人が占めているといいます。在日韓国人のおばあさん、ミャンマーからの難民、日本人と結婚したラオスやスーダンの女性……。このような人たちの「学びたい」という希望の声に応えるべく、昨年には議員連盟が設立され、夜間中学の設置に関する議員立法の動きもあるなど、後押しする機運が高まっているようです。
私が最近よく感じることの一つに、店員に外国出身の人が増えたことがあります。読者の方々の中にも、そう感じている方は少なくないのではありませんか。特に飲食店では、日本流の接客に戸惑いながらも、一生懸命働いている姿をよく見かけます。そんな人々がより日本で活躍するために、夜間中学校で日本語や計算、日本の歴史などに触れて学んでもらうことができるなら、仕事がよりはかどるでしょう。また、日本への理解を深めてもらえれば、一人の日本人として非常にうれしく感じます。
グローバル化の波に押され、思わぬ形で存在感が高まってきている夜間中学校。外国出身者のためにも、もちろん日本人のためにも、どうニーズに対応し、拡充していくか。ぜひ注目してください。
参考記事:5月9日付朝日新聞朝刊(東京13版)1面「『自主夜間中学』に7422人」、34面「夜間中学 集い学ぶ喜び」