自称・専門家にはご用心を

昨年末、中国・武漢の海鮮市場で新型コロナウイルスが発見されて以降、中国や日本をはじめ世界中で感染者を生み続けています。

中国から来日した人はもちろん、彼らと接触したと思われる土産物店の店員やタクシー運転手、その家族まで感染しており、中には中国からやって来た人との接触がない和歌山県の医者やその病院の元入院患者からもウイルスが検出され、この記事を書いている最中にも我が国で新たな感染者が報告されています。

横浜に寄港しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員乗客を除いて日本国内では感染者がしばらく確認されていなかったのでピークは過ぎたかと思いきや、ここに来て国内でウイルスが拡散されている実態が明らかになりつつあります。

見えないウイルスへの不安が広がり、初動対応に疑問の声が上がっている政府の対応への批判もじわりと広がっています。

「中国から来日する人すべてを拒否するべきだ」

「武漢から帰国した人はまだ家に帰すべきではない」

こういう論調がしばしば見受けられます。

また、医師の感染が確認された和歌山県の病院についても、病院付近を封鎖するべきだとか、和歌山県はじめ関西でも感染が「相当」広がっているはず、などという考えも。

よくよく考えてみると、しっかりとした根拠のある意見ではないです。何をもって家に帰すべきではないのか、何をもって封鎖するべきなのか。何も分かりませんが、それっぽいことを言っているように見えるために無意識に私たちの頭に入ってしまいます。

また、感染しないように対策を一人一人が施そうとしても、ウイルスにアルコール消毒は無意味だとか、マスクも着用する意味はないとかいう声も。アルコール消毒の有用性については厚労省が呼び掛けていますし、マスクも咳を撒き散らさないために一定の効果があるとされています。また、現在もマスクの品薄が続いていますが、今まで以上に貴重なマスクをせっかく着けても、着用中にマスクをべたべた触ったり、鼻を出したり大きな隙間があって効果を大きく減らしている人もたくさんいます。

中国人が行う対策が報道され、柑橘類の皮やペットボトルを顔に装着して感染を予防している映像が紹介され笑われていますが、根拠のない対策も似た部類にしか見えません。もちろん、こうした様々な言説の普及の裏には、不安という病が存在しているのでしょうが。

私たちにできることは、常日頃から手洗い・うがいを心がけ、栄養のあるものを食べてしっかり寝るという日々の生活であり、不明瞭なことを言って不安を煽ることではないはずです。中途半端に予防するのではなく、やるならしっかり行わないと意味がありません。

参考記事:

15日付 読売新聞朝刊3面(総合)「感染次々 新局面」

参考資料:

厚生労働省 新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0922-7b.pdf

厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html