今日2日でネパール大地震発生から1週間が経ちます。死者は6300人を超え、280万人が避難生活を送っているそうです。首都機能が麻痺したカトマンズでは、通信の遮断などで山間部の被害把握が進まず混乱が広がっています。
ネパール政府の対応や受け入れ態勢が遅れたうえに、インフラの弱さが被害を拡大させています。15ヵ国から援助隊が現地に入っていますが、到着しても政府から活動の割り当てがされないため、足止めを余儀なくされた援助隊もあります。日本からの国際緊急援助隊も、空港の混雑により着陸できず、1度引き返したため到着が1日遅れました。各国から支援物資が届くものの、空港近くの倉庫に山積みにされたままで、被災者の手には渡っていません。
大震災を経験し、防災や減災に取り組む日本がこれからどうネパールを支援していくべきなのか考えていきたいと思います。
まず建築物です。現地では耐震性の低いレンガ造りの住宅がほとんどで、違法な建築や増改築が横行しているそうです。このような建物は震度4程度で倒壊の危険がある、と専門家は述べています。今回のM7.8の地震で耐えられるはずがありません。日本では震災後、減災への取り組みが進み、建築家や住宅メーカーが地震に強い家を研究しています。日本の緊急援助隊に加わっている建築の専門家などと共同して、ネパールの地形や住宅環境にあった建築物について研究、協力してほしいと思います。日本が持つ耐震・免震・制震構造の建築技術が、震災後に作られる建物に活かせるのではないでしょうか。
ネパールは1年で80万人の外国人が訪れる観光立国です。しかし今回の地震では観光地が壊滅的な被害を受けています。世界遺産「ダルバール広場」では旧王宮の一部が倒壊するなど、復元には相当の時間が必要なようです。観光業で生計を立てる人も多くいます。そのような人たちにとっては、観光資源が回復し、観光客が来るようになって初めて復興といえるのです。今は現地の人の生活を救うことで精一杯だと思いますが、観光が後回しになりすぎてもいけません。観光立国を目指す日本には、観光資源の復元や発掘、観光需要の取り込み方の協力など、波及効果の大きい観光分野を復興させるための支援も求められていると考えます。
今の時点では、人、物資、支援金がネパールを救う大きな力であるのは間違いありません。しかし、そのあとに何が求められるのかも考えなければなりません。先進国としての日本、観光立国としての日本、災害大国としての日本の知恵と知識なのではないでしょうか。
参考記事:2日付朝刊各紙 ネパール大地震関連面