進化するテクノロジーの光と影 デジタルネイティブ世代が万博で目にした光景とは

4月に開幕した大阪・関西万博は、閉幕まで残り1ヶ月を切りました。一般来場者数が2000万人を突破し、駆け込み需要の高まりもあって賑わいを見せています。9月16日、あらたにすの合同取材として、筆者も人生初の万博に足を運びました。今回は万博で目にしたテクノロジーの進化に注目してみようと思います。

 

(PASONA NATUREVERSEの外観、9月16日筆者撮影)

 

印象的だったパビリオンは、PASONA NATUREVERSEです。パソナグループが運営し、自然とテクノロジーの調和という想いが込められています。IPS心筋シートの技術を活用した「IPS心臓」が展示され、しっかりと鼓動を刻んでいました。未来社会をモチーフにした没入型映像体験もあり、ナビゲーターであるアトムなどキャラクターと一緒に楽しむことができます。

 

身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる装着型サイボーグのHAL®、遠隔で装着者と動きや視界を共有できるロボットなど、最新機器の展示や実演もありました。ナビゲーターの方によると、遠隔で操作できることから危ない場所で人の代わりに作業をしたり、人の動きを覚えて繰り返せることから担い手のいない伝統技術を継承したりと、様々な活用方法が期待できるとのことでした。遠く離れた人と動きを共有できることから、生活圏が地球の裏側にまで広がるかもしれないとも言われています。

 

装着型サイボーグのHAL®(9月16日筆者撮影)

 

遠隔で操作可能なロボット(9月16日筆者撮影)

 

近い将来、人手不足をはじめとした社会課題の解決にロボットが一役買うかもしれないと期待が膨らみました。一方、ロボットの活用に伴う倫理的問題や法整備への取り組みなど、手放しで喜べない現状があることも忘れてはいけないと感じます。

 

テクノロジーの進歩は、万博のチケットなどあらゆる場面で実感しました。入場券は、インターネットでの購入が主流となっており、紙チケットの販売は7月で締め切られています。入場ゲートや予約したパビリオンの入り口では、チケットのQRコードを提示しなければいけません。ただ、人が集中する場でインターネットにアクセスするには時間がかかる恐れがあるため、事前に紙に印刷したりスマートフォンのスクリーンショットを保存したりと対策も欠かせません。パビリオンの入場予約もインターネットから申し込めますが、当日予約などはアクセスが集中するためか、なかなかつながりませんでした。

 

会場内では紙の地図も配布されておらず、スマートフォンのアプリなどから場所を確認することが推奨されているように感じました。もちろん、紙の公式マップの販売があることや現地でパビリオン予約の申請ができる場所が設置されている点など、スマートフォンを使いこなせなくても楽しめます。ただ、テクノロジーがあってこそ、万博を満喫できるように感じました。何でもスマートフォン1つで完了する便利さを実感した一方、幼い頃からインターネットが身近なデジタルネイティブ世代の筆者でも辟易してしまう場面がありました。

 

万博に足を運び、テクノロジーの進歩を目の当たりにしました。その利便性や可能性にばかり目を向けがちですが、光と共に影があることも忘れてはいけないように思います。実際に見たことで気づくことが多くありました。閉幕まで残りわずかとなった大阪・関西万博。訪れてみると楽しみながら自分の目で見て考える好機になるはずです。

 

 

参考記事:

 

2025年08月14日付 日本経済新聞朝刊「万博パソナ館に映像提供 韓国企業、日本進出に意欲 「参加実績、強みにしたい」(EXPO2025)」

 

2025年08月17日付 朝日新聞朝刊「グローブ333号<ロボットと人間 共生の時代へ>人とロボットの区別がない究極の未来 2075年、共生する社会を体感 大阪・関西万博 日本」

 

2025年9月18日付 読売新聞朝刊(社会)「「万博 多様な交流促進」 閉幕日の宣言 素案判明」

 

参考資料:

 

EXPO「コンビニエンスストアや旅行代理店で「紙チケット/チケット引換券」を買う」

 

CYBERDYNE「What’sHAL®? 世界初の装着型サイボーグ「HAL®」」

 

「PASONA NATUREVERSE」公式パンフレット

 

日経速報ニュースアーカイブ「大阪万博、一般来場者2000万人突破 閉幕までの来場予約ほぼ埋まる」