地方大学生が抱える苦労 就職活動を振り返る

8月に入り、多くの大学生が夏休みを満喫していることと思います。ただ、休みだからといって遊んでばかりもいられないのが就活生です。

学生向けに仕事を体験する機会を提供するインターンシップは長期休暇に開催されることが多く、早くも27卒生(学部3年、修士1年)の採用に向けた動きが本格化しています。

筆者も昨年の今頃はインターンシップに参加するため何度も道外に「遠征」していました。その際に感じていたのが、地方と大都市圏の就活格差です。

 

◯地理的なハンデ

学生人気の高い大企業・有名企業の本社は首都圏や関西圏に多く、対面のインターンシップや採用面接に参加する際は地方と大都市圏を往復しなければなりません。

筆者は札幌に在住していますが、昨年2月から今年6月までの就活関係での移動距離は、目的地との直線距離からの推計で合計5万kmほどになりました。これは地球を約1.25周、新千歳-羽田間(直線距離で約800km)を約30往復したことになります。

コロナ禍が収束して対面の採用活動が増え、また、企業理解のためにインターンシップへの参加が重要性を増している中、地方大生の移動距離はさらに伸びるのではないかと筆者は予想しています。

 

◯時間と体力

移動時間も学生にとっては少なからぬ負担となります。札幌駅から東京駅までは飛行機と電車で片道3時間半から4時間はかかります。

就活に費やせる時間は限られているため、移動が増えるとその分予定もタイトになります。

また、長距離移動が続くと体力的にもかなりの負担となります。

朝5時起きで7時台の飛行機に乗って東京開催のインターンシップに参加し、当日の23時頃に帰宅したこともありました。首都圏在住であれば19時頃には帰宅して大学の課題などに取り組み、あるいはアルバイトのシフトを入れることもできたでしょう。

対面インターンシップでの就業体験は学びも多く、飛行機での移動も好きなのですが、決して体力的に楽ではなかったなと思います。

 

◯かさむ交通費

移動費や宿泊費といった金銭面でも大きな負担が生じます。

航空券は予約日から搭乗日までが短くなるほど料金が高くなる傾向があります。一方で、選考の都合などから参加の可否が開催日直前に知らされることも少なくありません。

年々高騰している宿泊費も悩みの種です。近年は採用活動の一環として数日間にわたるインターンシップが重視されています。長期間のイベントは企業や業務への理解を深める貴重な機会ですが、日程が長くなるほど宿泊費はかさみます。

こうした費用を支給する企業もありますが、そうでないイベントも少なくありません。また、支給がされるといってもイベントの翌月以降に振り込まれることも多く、一時的に学生が立て替える必要が生じます。用意できる金額には限度がありますから、必然的に参加できるイベントは絞らざるを得ません。

こうした事態を避けるためにも、1、2年生のうちにある程度まとまった就活資金を用意しておく必要があります。

 

タイトルに地方大学生の「苦労」と書きましたが、さまざまな企業の対面イベントに参加し、各社のビジネスモデルや社風を自分の目で見ることで得る学びは大きく、貴重な経験であったと感じています。

さまざまな困難があると思いますが、これから就活を始める地方大学生の皆さんには、大都市圏との壁に臆することなく、積極的に外の世界を見て、自分らしい選択をしていただければと思っています。

 

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地方大学生が感じる就活格差

 

参考記事:

日経電子版「27年卒の就活、インターンも早期化広がる 採用直結型に熱視線」(2025年8月6日)