7月もあと数日となり、暑い日々に熱中症対策は欠かせません。そんなやる気のそがれる季節ではありますが、休暇には帰省や旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。筆者も先日、友人とともに東京観光をしてきました。今回はそんな東京旅を通して見えてきた課題について考えていこうと思います。
7月26日付読売新聞朝刊は、国内線の収益悪化を報じました。要因は様々ですが、コロナ禍によるリモートワークの普及や原油などのコスト上昇の影響が大きいようです。また、コロナ収束に伴う海外旅行の復活も要因の一つと考えられます。
こういった現状の一方で、「インバウンド需要」は高まっています。これは京都で過ごす中で日々実感していたことでしたが、東京駅に降り立つと日本人利用客より多いのではないかと思うほどの外国人観光客の姿に驚きました。また、観光地ではない街中でもアニメ文化を中心に日本を楽しむ観光客の姿が目立ちました。
そういった中で感じたのは、彼らが日本でのルールを共有しきれていないという現状です。駅構内では大きな荷物を抱えて床に座り込み通路を塞いでいたり、フードコートなどの飲食スペースではトレーが机に置きっぱなしだったり。そんな光景によく出くわしました、ゴミ問題の中でも分別に関しては最も理解されていないと感じました。これらのルールや一定のマナーは私達日本人にとっては当たり前のことですが、彼らにとってもそうであるとは限りません。
日本の文化や観光地の魅力が世界に広まったのは、それを伝えようと積極的な発信活動を重ねた結果です。ならば、その発信力と近年のアニメ人気などと上手く活かし、こういった日本のルールについての発信活動もできるのではないでしょうか。工夫次第で、彼らに快くそして楽しくこれらを受け入れてもらうことはできると思います。
2つ目は、ニュースなどでも度々取り上げられる「東京一極集中」についての課題です。何気なく街中を歩いているだけでも有名企業の社屋を数多く目にします。首都である以上仕方がないことですが、地方との発展格差が大きくなっていくのは望ましくないでしょう。会社があることで雇用や交通網が整備され、結果的に経済も回ることになります。それはまた新たな事業が展開されていくという好循環が生まれます。他方で、地方は雇用も交通網も十分とは言えません。
もしこの現状で東京の中枢が上手く機能しないような事態が起こったら、都市も地方も関係なく全国的に社会が動かなくなるでしょう。首都東京を盛り上げる必要性は十分に理解できますが、同時に地方の発展も含めたバランスを考えた機能分散の必要性もあるのではないでしょうか。
地方出身である筆者には東京という街が非現実的な場所であると思ってきました。実際地元にはない店や物で溢れかえり、テレビで紹介されていた場所だと興奮することも少なくありませんでした。しかし、これまでただ知識として捉えていた様々な社会課題も厳しい現実なのだと感じさせられました。
世界的な評価が高まる中で、より良い「日本」を発信することももちろん重要な取り組みですが、外にばかり目を向けていては未解決の課題は増えるばかりです。こういった問題に積極的に取り組みこともまた先進的な日本を発信していくことにもつながるでしょう。
自身で足を運ぶことの大切さを学び、社会の現状を肌で感じられる良い機会となりました。もちろん友人との最高の夏の思い出もたくさんできた意味のある東京旅になりました。
参考記事
7月26日付 読売新聞 朝刊 (大阪13版) 11面「解説 国内線収支 急速に悪化」