「聖地巡礼」の広まり 観光につなげる工夫とは

「聖地巡礼」が一般に使われるようになって久しくなっています。観光の目的とする人も数多く、インバウンドに含まれるアニメの巡礼者は年間310万人だそうです。アニメや漫画の舞台となった場所やアイドルの訪れた場所、作者ゆかりの地などが聖地であると言えます。

私は先日、2014年に放送されたドラマ「ごめんね青春!」の舞台・ロケ地である静岡県三島市を訪れました。小学生の頃に見て好きになった作品で、大学生になって念願が叶いました。劇中に登場した公園や神社を巡ったり、名物の三島コロッケを登場人物たちと同じ場所で食べたりして充実した巡礼をすることができました。この日、私たちは京都から三島まで新幹線に乗ったほか、静岡の海鮮丼やコロッケを食べ、地域を走る伊豆箱根鉄道に乗りました。聖地巡礼が地域の経済に大きな影響を及ぼしているのは間違いありません。

三島コロッケ(2025年7月24日 筆者撮影)

 

三島市では観光客を呼び込もうと、映画やドラマ、CMのロケを誘致する動きが本格化しているといいます。朝日新聞によれば、三島市とロケツーリズムによる地域創生に取り組む企業が協定を締結し、「オール三島市」で撮影が円滑に進むよう支援するそうです。記事ではロケ地に選ばれることは聖地巡礼が期待できるだけでなく、市民が街を誇り、自信を持つシビックプライドの醸成にもつながると述べています。このような行政や企業の取り組みが、地域における観光の更なる発展に欠かせません。

今年9月には、愛知県で「ツーリズムEXPOジャパン」という世界最大級の観光・旅行関連展示会が初開催されるそうです。この催しではコンテンツツーリズムの特集エリアが設けられ、ロケ地を持つ地域やVR技術を持つ企業の協力による展示が予定されています。このような新たな取り組みにも注目しています。

国内でも、「推し活」人口は1000万人規模に上るといいます。各地でオーバーツーリズムが課題となっているなかで、聖地巡礼は新たな観光地を創出できるきっかけであると言えます。観光客を分散できれば、オーバーツーリズムの軽減も可能になるでしょう。

新たな聖地が生まれることで、まだ知られていない地域の魅力を知る機会が増えると思うと、心が躍ります。

 

参考記事

4月25日付日経電子版「アニメ聖地巡礼、伸びしろしかない 長崎県は公開3年前からロケ誘致」

7月16日付日経電子版「世界最大級の観光イベント、9月に愛知初開催 10万人来場めざす」

 

参考資料

6月7日付 朝日新聞デジタル「「ごめんね青春!」の夢よもう一度 産官学でロケ支援 静岡・三島」

日経ビジネス「「推し活」人口1000万人超 無関係と思っている企業に隠れた商機」