旅と社会の救世主 フェリーの魅力とは【前編】

7月も半ば、夏休みやお盆休みを楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。旅行を予定されている方も少なくないと思います。

旅先への交通手段は車、電車、飛行機など多岐にわたります。物価高騰や観光地の混雑で「タイパ (タイムパフォーマンス)」、「コスパ(コストパフォーマンス)」を重視するこの頃、交通手段、宿泊先の選択に難渋している方も多いのではないでしょうか。

そこで私がよく利用する長距離フェリーをおすすめしたいと思います。船というと「遅い」といったマイナスイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、フェリーは「タイパ」と「コスパ」双方を兼ね備えた交通手段といえます。

まず「タイパ」面です。私が利用したフェリーだと出航便が17時台、19時台にあり、学校や仕事終わりに乗船し、お食事をして寝ている間に旅先に着くことができる効率の良さがあります。

フェリーの窓から見えた大阪・関西万博の会場(7月13日 名門大洋フェリーから海上にて筆者撮影)

「コスパ」面では、旅先で早朝から予定がある時に発揮されます。フェリーなら当日の早起きも前泊のホテル代も必要なく、朝5時から8時台に到着することができます。

他の交通機関と比べてみるとどうでしょうか。飛行機はLCCをよく利用しますが、荷物の制限、保安検査、さらに早朝便では早起きとフェリーよりも制約が多いように思えます。夜行バスは乗降も容易で安価ですが、お風呂や食事などが付いていない点を考慮すると宿代わりとしての役割はフェリーよりも劣るのではありませんか。

フェリー内レストランで景色を眺めながらの食事(7月14日 名門大洋フェリー内レストランにて筆者撮影)

実際に、フェリーが旅の計画を助けてくれる一例もあります。大阪・関西万博開催の影響で関西ではゴールデンウィークにはカプセルホテルでも2万円を超えるものもあったそうです。そんな中、神戸‐高松間を運航する「ジャンボフェリー」(神戸市)はフェリーを宿代わりにする「ふね泊」プランを始めました。神戸港を夜に出港し、高松港に夜中に着くものの下船の必要がなく、翌朝に神戸港に戻ります。つまり、海の上での宿泊というものです。1泊4990円からと陸上で宿泊するよりもかなりお得です。

全国には15航路の長距離フェリーがあり、旅だけでなく物流も支えています。トラック運転手の時間外労働の上限規制による労働力の不足、「物流の2024年問題」が深刻化するなかでトラックに代わる輸送手段としても注目されています。フェリーは私たちの旅を快適にするだけでなく、社会の諸課題を解決し、生活をも快適にしてくれているようです。

参考記事:

2024年7月25日付 読売新聞オンライン 「トラック依存97%」農産物や海産物の輸送網、海・空へリスク分散…物流2024年問題や災害に備え

https://www.yomiuri.co.jp/member/scrap/20240725-OYTNT50024

2025年5月4日付 読売新聞オンライン 万博開催の関西でホテル高騰、カプセルでも1泊2万円超…フェリーが宿代わりの安価プラン登場

https://www.yomiuri.co.jp/member/scrap/20250504-OYT1T50033

参考資料:

ジャンボフェリー あおいに泊まろう!新感覚の「ふね泊」始めました。

https://ferry.co.jp/news/news-55734/

日本長距離フェリー協会/Japan Long Course Ferry Service Association 航路案内

http://www.jlc-ferry.jp/kouro.html