近年、過去に公開された海外映画の再上映がブームとなっています。新作洋画が興行面で苦戦する中、すでに評価が定まっている旧作は「計算できる」コンテンツとして注目されているようです。これは、失敗を避けたいというタイムパフォーマンス重視の若者の価値観が、映画の世界にも影響を及ぼしている表れかもしれません。
思えば、映画館での作品鑑賞は、ここ10年ほどで少しずつ変化してきているのではないでしょうか。今回は映画館に焦点を当て、私が住む京都のミニシアターに触れながら、その魅力を様々な角度からご紹介します。
〇京都のおすすめミニシアター
まずは、私が普段からよく足を運ぶ、おすすめのミニシアターを2つご紹介します。
1.出町座
京阪出町柳駅から徒歩5分の場所にある「出町座」。商店街の一角にひっそりと佇む小さな映画館ですが、一歩足を踏み入れると、壁一面に広がる本棚が目に飛び込んできます。小説から専門書まで、多種多様なジャンルが並び、気になった本はその場で購入することも可能です。私はこの本棚のエリアだけで1時間近く過ごしてしまいました。また、カフェも併設されています。映画とのコラボメニューが企画されることもあり、訪れるたびに新たな発見があります。
2.アップリンク京都
地下鉄烏丸御池駅直結の複合施設、新風館内にあるのが「アップリンク京都」です。最大の特徴は、独立したスクリーンを備えたシアターごとに趣向を凝らした座席のデザイン。真っ赤な座席が印象的なスクリーン1、レインボー柄のスクリーン2、落ち着いた抹茶色のスクリーン3、そして椅子、壁、床のすべてがストライプ模様で統一されたスクリーン4と、個性豊かな4シアターで構成されています。次はどのシアターで観るのか、毎回ワクワクしながら訪れるのも楽しみ方の一つです。
〇映画館でこそ観たい2作品
次に、個人的に「ぜひ映画館で観てほしい」と思う作品を2本ご紹介します。
1.『14歳の栞』
埼玉県内のとある中学校の2年6組に密着したドキュメンタリー映画『14歳の栞』。実際の中学生を追った作品であるため、プライバシー保護の観点から劇場公開のみとなっており、デジタル配信の予定はないそうです。毎年3月から4月の卒業シーズンに全国の限られた劇場でのみ上映されるため、この機会を逃すと観ることができません。まさに映画館へ足を運ぶきっかけになる一本です。
2.『四畳半タイムマシンブルース』
森見登美彦の『四畳半神話大系』と上田誠の『サマータイムマシンブルース』がコラボした作品が『四畳半タイムマシンブルース』です。舞台は京都で、作中には実際の場所が多数登場します。私がよく行く銭湯「源湯」も、作中のキャラクターが通う風呂屋のモデルとなっています。先に紹介した出町座では、夏の時期にはストーリーにちなんだ「私が五山送り火に明石さんを誘うための限定上映」というユニークな企画上映が行われました。私も観に行きましたが、作中に登場する「聖地」が映画館のすぐそばにあることもあり、非常に趣深い鑑賞体験となりました。
京都は様々な文化が集まり、大学生活を送るには最高の場所だと過ごしていて感じます。
皆さんも京都観光に来られる際は、ミニシアターに足を運んでいただけたら嬉しく思います。