先日、香川県に帰省していた筆者は、高松市屋島山上交流拠点施設「やしまーる」を訪れてみました。屋島山上へは高松市街から車で約30分ほどです。
屋島は、源平合戦で那須与一が扇の的を撃ち抜いた場所として広く知られています。また、四国88か所霊場の第84番札所「南面山 千光院 屋島寺」には屋島寺宝物館が併設され、平安時代の彫像や源平合戦に関する資料が展示されていました。
平日でしたが、駐車場には県内外のさまざまなナンバーの車が止まっていました。そんな屋島への観光客数ですが、1972年の年間246万人をピークに長らく低落傾向にあり、「やしまーる」建設前は50万人台まで減少。特にコロナ禍による影響で、2020~21年度は40万人を下回る状況でした。
こうした状況を打開すべく、22年に完成させたのが「やしまーる」です。誕生前後には、新屋島水族館、四国村ミウゼアム、れいがん茶屋のリニューアルなど、周辺の民間施設との一体感も大切にしたそうです。その結果、22年度の観光客数は63万人を超えました。官民が一体となって観光地として再生させたことが評価され、翌年には優れた都市景観を生み出した活動を表彰する「都市景観大賞」の都市空間部門で大賞(国土交通省)に選ばれました。
ガラス張りで光が差し込む
(2025年5月18日 筆者撮影)
また昨年、国内の優秀な建築作品をたたえる日本建設業連合会の「日建連表彰2024 第65回BCS賞」も受賞しました。「特徴的な地形に沿うように、平面的にも断面的にも有機的で透明な連続空間が見事に周辺の風景を取り込んで、心地よい場を生み出している」と高く評価されました。屋根瓦には、香川県の牟礼町、庵治町で産出された庵治石が使われています。
展望台からは高松の町と瀬戸内海に浮かぶ島々が一望できる
(2025年5月18日 筆者撮影)
今も「やしまーる」の知名度をさらに高めるために様々な取り組みがなされています。筆者が訪れた際は、今年開催されている「瀬戸内国際芸術祭2025」とコラボし、9名の作家によるアート作品が展示されていました。コンセプトは「いきいき、のびのびと暮らす島の動物たち。瀬戸内海の豊かな生態系を起点に、アーティストが独自な目線で表現する」だそうです。
展示されていた作品の一部
(2025年5月18日 筆者撮影)
また、今年2月には高松市がSNSで影響力を持つインフルエンサー107人を招き、2泊3日で「やしまーる」など市内の観光地を巡って魅力を発信してもらう事業を実施しました。
他県の友達に「香川県行ってみたいんだよね」「香川行ってきたよ」と言われる機会も増えてきました。このような取り組みを通じて多くの観光客にふるさとの魅力が伝わり、地域に一段と活気が戻ることを願っています。
参考記事
2023年6月6日付 朝日新聞朝刊 (香川県全県・1地方) 23ページ 「屋島に都市景観 大賞 やしまーるで人気回復 /香川県」
2024年9月18日付 朝日新聞朝刊 (香川全県・1地方) 21ページ 「『やしまーる』にBCS賞 風景取り込んだ空間評価 日建連 /香川県」
2025年2月4日付 読売新聞大阪朝刊 香川 23貢 「インフルエンサー107人 高松観光SNS発信 市事業 2泊3日で招き=香川」
参考サイト
エクスペリエンス高松、https://www.art-takamatsu.com/jp/travel/sightseeing/entry-850.html
瀬戸内国際芸術祭2025、https://setouchi-artfest.jp/artworks/detail/cee1e4ee-c23d-442b-a31b-a34438400fba#:~:text=%E5%B1%8B%E5%B3%B6%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%B6%E3%81%A4%E5%9C%92%20%E3%83%BC%E6%B5%B7%E3%81%A8%E6%A3%AE%E3%81%AE%E3%82%80%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%8C%E3%82%8F%20%7C%20%E4%BD%9C%E5%93%81%20%7C%20%E7%80%AC%E6%88%B8%E5%86%85%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E8%8A%B8%E8%A1%93%E7%A5%AD2025.
YONDEN、https://www.yonden.co.jp/cnt_landl/2408/special.html