5月は図書館振興の月です。1950年4月30日に図書館法が公布され、それに続く5月を日本図書館協会が振興の月としました。
図書館法には設置や運営に必要な事項が定められており、教育と文化の発展に寄与することを目指しています。この法律は第2条の1項に示されている通り、学校に付属する図書館、図書室などは除かれています。また国立国会図書館は48年に制定された特別法で規定されています。
近年では人々の読書離れが問題になっています。文化庁が2023年度に全国の16歳以上の個人に実施した「国語に関する世論調査」では読書と文字・活字に関する情報への意識について調べています。「一か月に本を何冊読んでいるか」という質問に対しては、18年度の調査では「読まない」割合が47.3%と辛うじて半数以下だったのが、今回は62.6%まで上昇しています。一方で「本以外の文字・活字の情報を読む機会は毎日ある」という回答は75.3%となっています。読書が減っている理由として「情報機器で時間がとられる」との回答が4割を占め、モバイル端末の普及が大きく関係しているようです。
24年のコミック市場に関しては出版科学研究所の調査があります。それによると紙の割合が27.3%、電子版が72.3%となっています。16年は紙媒体でのコミックの販売額は2963億円、電子コミックが1491億円だったのに対して、24年には紙媒体が1921億円、電子版が5122億円と大きく逆転しています。コミック全体の販売額も増加しており、書店に行くことなくネットで購入から閲覧までできてしまうことが販売増につながったと考えられます。このことから今後もコミック本は電子版への移行が進行すると思います。
本の電子化が進むにつれて書店の店舗数は減っています。03年に日本は2万880店舗がありましたが、20年経過した23年には1万918店舗しかありません。
筆者は本を持ち歩き、移動中の電車の中や図書館などで読んでいます。SNSなどで目にする文章は短く読みやすいため、本を敬遠してしまう人もいるかもしれません。しかし、書籍を読むことで知識はもちろん集中力や達成感など、得られることも数多くあると思います。ぜひ図書館振興の月を機に興味のある本を読んでみてはいかがでしょうか。
参考文献:
2024年9月17日付 読売新聞オンライン 1か月に本「読まない」6割、5年前より15ポイント増…「読書量減った」過去最多7割
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/articles/20240917-OYT1T50115/
2025年2月7日付 読売新聞オンライン 書店の減少続く、支援拡大が急務…[読売新聞社・講談社提言全文<1>]
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/articles/20250206-OYT1T50169/
参考資料:
e-gov 法令検索 図書館法
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000118/
出版科学研究所 出版指標
文化庁 令和5年度「国語に対する世論調査」の結果の概要
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/94116401_01.pdf
経済産業省 活字離れは本当か?
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20231108hitokoto.html