What,When,Where,Who,Why ,How,,,
隣に外国の方が引っ越して来たら、根掘り葉掘り聞きたいのが本心ではないですか。 それとも聞く勇気が出ないでしょうか。
リビア沖の地中海で密航船が沈没し、乗っていた移民・難民700~900人が行方不明となっています。これまでに救助された生存者はたったの27人で、うち二人はチュニジア人とシリア人の密航業者でした。地元検察の発表によれば、船長が救助にきた商船に接近する際に操縦を誤って衝突。すし詰め状態だった難民が動いて転覆につながった疑いがあります。
リビアでは2011年のリビア内戦で反体制派が勝利しましたが、国内の混乱は続いています。テロや紛争、それに伴う生活苦など様々な理由から、これからもアフリカや中東から多くの移民や難民が押し寄せることが予想されます。悲惨極まりない事故の背景に、どうしても国際社会が避難民を捌ききれていない現実が見えてしまいます。
移民や難民の受け入れに慎重な姿勢を取ってきた我が国も例外ではありません。朝日新聞は、戦後70年にあたって日本とドイツで実施した世論調査で移民の受け入れについて質問しました。日本では移民を受け入れることについて、「賛成」が5割を超えました。ドイツでは移民を受け入れたことは「よかった」が8割を占めています。戦後、ドイツは移民を幅広く受け入れることで労働力を補充し、急速な復興を成し遂げました。日本も慢性的な人材不足を背景に移民の受け入れに賛意を示す人が多いようです。
しかしながら、いざ移民を受け入れた生活を想像すると、未だに不安がぬぐえないところもあります。筆者の大学でも、去年に比べて中国語を聞く機会が多くなってきました。年々多くの中国人留学生を受け入れているようです。私ですか?拙い中国語もあって、情けないことにまだ一度も話しかけたことがありません。何を怖がることがあるのかと情けなくなる一方、中国語を勉強して(ひと月だけですが)留学をした自分でもこうなのですから、現場で働く人たちはもっと高い壁を感じてしまうのではないでしょうか。職場でうまく外国人を受け入れることができず、トラブルに発展するケースも多く聞かれます。
18日付の参考記事のインタビューで、鳥居一平氏は「体感治安」という言葉を使っています。仕事が奪われたり治安が悪化したりすることへの不安感は数字では表せないというわけです。現実の必要性があるからといって、実際の生活がうまくいくとは限りません。移民の受け入れをより活発に行うためには、日本人の背中を誰かが押してあげなくてはいけないと思います。
そもそも移民という言葉から思い浮かべる姿もまちまちです。朝日新聞の調査では「永住を希望して日本にやってくる外国人」を移民として受け入れることを前提としていましたが、家族連れの外国人を会社のブレインとして迎えるのでしょうか。労働人口の不足する介護分野で働いてもらうのでしょうか。出稼ぎでしょうか。それとも、政治的理由から国を離れざるを得なくなった人たちでしょうか。移民だ、難民だと一口に言ってもその性質によって日本社会に及ぼすインパクトは様々です。
移民を日本に中長期的に迎え入れるにあたって大切なことは、どこから来た人で、どの分野でどの期間働いてもらうのかをはっきりさせ、国民にストーリーを示すことが大切ではないでしょうか。隣人が何者であるかを知ることが、コミュニティの不安を取り除く一歩になると思います。
<参考記事>
4月22日付 朝日新聞11面「EU密航対策へ緊急措置合意 リビア沖沈没 生存者、イタリアへ」
4月18日付 朝日新聞7面「移民に「賛成」日本51% 受け入れ肯定 ドイツ82%」