内閣府が13日に2016年10月から12月期の国内総生産(GDP)を発表しました。速報値は実質成長率が前期に比べて0.2%。この成長が1年間続くと仮定した年間換算では1.0%増で4四半期連続のプラス成長となりました。一方で、個人消費は0.01%減と4四半期ぶりにマイナス。一人一人の節約志向は強まっていると見受けられます。
それでは新聞ではどんな見出しがつけられていたのでしょうか。
朝日新聞「実感乏しいアベノミクス」
日本経済新聞「景気 緩やかに回復続く」
読売新聞「外需頼み 鈍い消費」
もしも見出しをつけるとしたらどのようにするか考えました。私だったら「伸び悩む個人消費」とつけたいです。GDPの6割を占め、経済の回復に欠かせない個人消費の動向を一番に伝えたいと思ったからです。ですから、読売新聞の見出しがしっくりしました。たしかにアベノミクスの恩恵は感じ取ることはできません。ですが、「実感乏しいアベノミクス」と見出しをつけると発表の内容から少しずれてしまう気がします。数値ではプラスになっているので「景気 緩やかに回復続く」で間違ってはいないのですが私が伝えたいことと少し異なります。
安倍政権は企業業績の改善が賃金上昇につながり、消費や設備投資を拡大させる経済の好循環を目指しています。実質賃金指数は16年にプラスに転じました。ですが、賃金上昇の恩恵を受けるのは一部の人だけであり、多くはなかなか消費に踏み込めない現状です。
自分の周りを見渡しても財布の紐が緩むことはありませんでした。私は公園で子どもを見守るボランティア活動をしています。そこで子育て中のお母さんたちの雑談を耳にします。話題になるのは子育てのことや家計のこと。政府は昨年6月に消費税10%引き上げを延長すると決定しました。これに対し、家計に響くので再延期は助かったという人が多いです。ですが、こんな声もあります。「年金をもらうことができないかもしれない」と。将来に希望が持てない人も少なくないのです。老後や子どもたちを思い、貯蓄しようと考える人が多いのも頷けます。
毎年2月ごろから続く春闘では従業員の給料引き上げについて話し合うので政府も期待を寄せていると思います。もちろん実質賃金をあげることも大切です。ですが、今ある生活の基盤がしっかりとし、将来の見通しがあって初めて消費につながると思います。もたつく日本経済を立て直すために、政府はこの視点をいつも意識の片隅に置いて欲しいものです。
14日付け 朝日新聞(東京13版)11面「実感乏しいアベノミクス」
日本経済新聞(東京13版)5面「景気 緩やかに回復続く」
読売新聞(東京14版)9面「外需頼み 鈍い消費」