Question:国家公務員が懲戒免職となった場合、その人の名前は公開されるのでしょうか、それとも公開されないのでしょうか。
読売新聞の調査によると、昨年度に懲戒免職となった国家公務員は25名。省庁別だと、国土交通省11名、法務省7名、厚生労働省、経済産業省、国税庁各2名、環境省1名となります。そのうち、実名が公表されたのは、たったの9名にとどまったと明かしています。その9名が実名発表されたのは、懲戒免職前に警察発表などで実名が公開されていたからで、実名発表をやむを得ない場合のみでした。 各省庁は、相次ぐ匿名発表への批判をうけ、2007年に報道機関の取材に対して「今後は多くで氏名を公表する」と述べていましたが、各職員に対しては、「警察などによる指名の公表が間近にあった場合には公表もあり得る」としか説明していないことも明らかになりました。実名報道にむけて、なにも改善されていないのか、と疑問に感じます。
ここで、昨年度に懲戒免職になった職員が匿名で発表された事例は、国立ハンセン病療養所の准看護師による放火(厚生労働省)や、四国地方整備局の元副所長らによる未公表の情報の不正入手、中部地方整備局の職員による器物破損、近畿地方整備局の職員による診断書偽造(いずれも国土交通省)、仙台国税局の職員による不正ローン申請(国税局)などがあげられます。なぜ実名を発表しないのか、疑問に思うばかりです。
一方で、各都道府県と政令都市、計67自治体のうち、昨年度は、36自治団体で60名の職員が懲戒免職の処分を受けました。そのうち、大半の50名が実名で発表されました。実名発表を行う理由として、「県民に説明責任を果たす必要がある」(徳島県)、「市民に対する極めて重要な背信行為」(札幌市)、「市政の透明性の確保や不祥事の抑止効果につながっているはず」(横浜市)などがあげられています。
反対に、懲戒免職の際の実名発表に消極的な自治体からは、「他人に知られたくない個人情報」、「懲戒処分は、組織の秩序維持が目的で、社会的制裁を加える必要はない」、などといった声が上がっています。
さて、読売新聞の調査で新たに分かったこの事実。国や地方自治体は、政治の透明性を守るのか、職員の個人情報を守るのか。彼らが大切にしなければいけないことは何なのでしょうか。みなさんのご意見をお待ちしております。
参考記事 8月12日付 読売新聞 35面 「国、懲戒免の6割匿名」