「専業主婦」という言葉を聞くと、子育て、家の掃除、洗濯、炊事といった家事に追われる大変な毎日を送る女性を真っ先にイメージするかと思います。そんな中、専業主婦が再就職に挑戦し、家事をこなしながら会社に出勤してフルタイムで働くようになった女性がたくさんいます。
昨日の朝刊で、フルタイムで働く主婦たちの記事を目にし、母の昔からの友達である女性に話を伺おうと思い立ちました。その方も主婦でありながら、常勤で働く会社員です。15年前の結婚を機に、勤めていたIT系の会社を寿退社し、それからは2人の子供を出産して専業主婦として生活をしました。そして、子育てがひと段落した3年前から翻訳会社に再就職したそうです。
これまでの経緯を聞く中で、「なぜ再就職しようと決めたのですか?」と質問しました。すると、「子供たちが大きくなって、ようやく子育てが落ち着いたら、もう一度仕事に就けたらいいなあと思っていました。そうすることによって、少しでも家計の足しになれますし。翻訳会社に再就職したのは、得意の英語力を活かすため」といった答えが返ってきました。
その方の仕事に対する一生懸命さが会社の上司に認められ、現在では部長として活躍しているそうです。この方との対話から伝わってきたことは、主婦としての家庭への思いです。専業主婦を終えてフルタイムで働きながら、家庭を支えることはそれだけ大切で大変なことであるということです。
先ほどの記事では「夫だけが働く専業主婦世帯の安定性や優位さが大きく揺らぎ始めている」と書かれています。私もそう感じます。今の日本の社会では、共働き世帯といった夫妻がともに雇用されるかたちが増えています。そして、専業主婦が家庭から職場に戻る雇用形態も増えだしたのではないかと思います。政府、行政や各企業も、そういった女性たちが復帰して働きやすくなる労働環境を整備していく必要があると考えます。
一方で、家事に専念する時期、いわゆる「就労ブランク期間」のハンデを乗り越えるのは簡単ではありません。私が話を伺った主婦の方のように、英語力といった専門性を身に付けておくことが再就職に有利に働くのは間違いありません。これからはそういった女性がさらに増え、社会で再び活躍することを期待しています。
1月21日付 日本経済新聞朝刊 33面女性 「専業主婦 フルタイム再び」